京都国立博物館|日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―(後期展示)
開催期間:2025年4月19日(土)〜6月15日(日)
場所:京都国立博物館 平成知新館

プロローグ
京都国立博物館の特別展「日本、美のるつぼ」は、先月訪れた奈良国立博物館の「超・国宝」との共同開催。これは期待大!と胸を弾ませて行ってきました。
今回は仏像だけでなく、日本美術を代表する有名な作品の「本物」に出会えるまたとない機会
ワクワクが止まりませんでした!
平日10時過ぎに到着しましたが、チケット購入時点で既に行列。展示会場内も混雑していて、この展示会の注目度の高さを実感しました。
特に印象に残った作品
- 富嶽三十六景 神奈川沖浪裏(葛飾北斎)
- 富嶽三十六景 凱風快晴(葛飾北斎)
- 富嶽三十六景 山下白雨(葛飾北斎)
- 国宝 風神雷神図屏風(俵屋宗達)
- 重要文化財 耀変天目
📍特に心に残った御仏像
【国宝】五智如来坐像(京都・安祥寺)
- 平安時代初期(851〜854年頃)作、日本最古の五智如来像五体一具
- 中央に大日如来、周囲に四仏を配した密教曼荼羅の立体表現
- 京都国立博物館への寄託により、特別公開時のみ間近で鑑賞可能
五体とも金色に輝き、とても優しい表情をされていました。
▶︎もっと詳しく知りたい方はこちら:安祥寺の五智如来|密教の智慧を宿す現存最古の五仏像もぜひチェックしてみてください。
【重要文化財】 宝誌和尚立像(ほうしわじょうりゅうぞう) (京都・西往寺)
- 木造彫刻で、日本では唯一現存する宝誌和尚の肖像彫刻
- 僧形で、顔の中央に縦の裂け目があり、その中から菩薩面(観音の顔)が覗くという非常に特異な造形です。これは宝誌和尚が十一面観音に変容したという説話に基づいています
- このような怪異な顔貌は、宝誌和尚の神通力や観音の化身という超越的な存在感を強調するためのものであり、仏教美術における肖像と仏像の境界を象徴する作品とも言えます
宝誌和尚(418~514)は中国・六朝時代の高僧で、予言や神通力で知られ、数々の奇跡譚が伝えられています。
特異な姿、オーラに目が離せませんでした。
▶︎もっと詳しく知りたい方はこちら:顔を裂いて観音が現れる?!宝誌和尚立像もぜひチェックしてみてください。
羅怙羅尊者像(らごらそんじゃぞう) (京都・万福寺)

- 羅怙羅(ラーフラ)は釈迦の実子とされ、仏教における高僧・聖者として信仰されています
- この像は両手で自分の胸(または腹)を大きく切り開き、その中にお釈迦様の顔を見せているという、非常にインパクトのある姿で表現されています
- この特異な表現は「人はその心の中に必ず仏の心を宿す」という仏教の教えを、直感的かつ象徴的に示すものです
▶︎もっと詳しく知りたい方はこちら:心に仏が宿ると唱えた萬福寺の羅怙羅尊者像もぜひチェックしてみてください。
韋駄天立像(いだてんりゅうぞう) (京都・万福寺)
- 寺院の守護神として信仰されています
- 元朝の宮廷武官の姿に擬えられており、当時の日本の仏像には見られない異国的な表現が特徴です。像高は約120cm。明清様式の影響が色濃く、これ以降「黄檗様」と呼ばれる独自の仏像様式が全国に広まりました
- 走ることや勝負事にご利益があるとされ、参拝者からも信仰を集めています
前傾姿勢で、今にも動き出しそうな躍動感がありました
【重要美術品】 埴輪 鍬(くわ)を担ぐ男子
- 古墳時代後期(6世紀ごろ)に作られた人物埴輪の一種で、肩に鍬(くわ)を担ぎ、愛らしい笑みを浮かべる男性像です
- その表情やポーズから、「ちっちゃいことは気にすんな」と語りかけてくるようなユーモラスな存在としても人気です
とても可愛らしく、ほっこりとした気持ちになりました
博物館内カフェでひと休み

1人来館の方も多く、カフェもおひとりさま利用がしやすい雰囲気でした。
前田珈琲さんが平成知新館1Fレストランに期間限定で特別出店したカフェを利用しました
テラス席で市松模様にデザインされた芝生を眺めながら、「赤味噌入りシチューオムライスセット」をいただきました。
展示鑑賞の合間にゆったりと休憩できるカフェ利用は、丸一日楽しみたい方におすすめです。

ワークショップ「キラキラ 交流のキセキ」

- 平成知新館2Fラウンジにて開催
- 所要時間:約20分/参加費無料
- 漆工品に描かれた文様を紹介+スタンプでレターセットづくり
無料で気軽に参加でき、展示会の記念にもなります。
昨年に引き続き2回目の参加でしたが今回も大満足!
博物館で仏像を見るメリット
近くからじっくり観られること
お寺では距離や配置の都合で離れて見ることが多いですが、博物館では仏像に近づいて細部まで観察できます。360度あらゆる角度から見る機会も多いです。
たくさんの仏像を一度に見られる
貴重な仏像が集まって展示されているため、遠方の寺院を巡らなくても多彩な仏像をまとめて鑑賞できます。
天候や季節に左右されず快適に鑑賞できる
夏の暑さや冬の寒さに関係なく、設備の整った環境で安心して鑑賞可能です。
展示環境による特別な魅力の演出
照明やレイアウトが工夫されており、仏像の美しさや表情が際立つように展示されています。寺院とは異なる芸術的な観賞体験が得られます。
写真撮影ができる場合もある
許可されていれば記録として撮影でき、後からじっくり見返せるメリットがあります。
アクセスや設備が整っている
博物館は交通の便が良く、車椅子などでも入りやすい設備が整っていることが多いです。
仏像を通じた精神的な癒しや感動
仏教徒でなくても神聖な空気を感じ、頭を下げたくなるような心の動きを体験できることもあります。
* * *
これらのメリットから、博物館での仏像観賞は「近くで多くの仏像を快適にかつ詳細に鑑賞し、仏像の美術的・精神的な魅力を深く味わえる」貴重な機会となっています。
博物館での展示では、より近くで細部までじっくりと鑑賞できるので大好きです😊
また、仏像初心者の方も、一度に沢山の仏像を鑑賞できるので、好きな仏像に出会える可能性も高いと思います✨
京都国立博物館 基本情報
- 住所:京都市東山区茶屋町527
- 公式HP:https://www.kyohaku.go.jp/
🚌 アクセス(公共交通機関)

- 市バス:京都駅前→「博物館・三十三間堂前」下車(約10分/230円)
- 徒歩:京都駅から約20分(約1.4km)
- タクシー:約5〜10分/約800円
- JR奈良線→東福寺→京阪本線→七条駅下車 徒歩7〜8分(約20分)
※バスは便利ですが、行列・混雑があるため、徒歩でのアクセスもおすすめです。
周辺のおすすめスポット
- 三十三間堂:正面に位置し、圧倒的な数と存在感を放つ1001体の千手観音像に出会えます

- 前田珈琲 京博店:京都国立博物館のチケット売り場に併設されています。博物館を眺めながら食べる、京博限定の「ふわふわ玉子サンド」がオススメです。(卵焼きタイプのサンドイッチ)

エピローグ

「万福寺」が展示に深く関わっていたことにも感動。異文化の融合が京都仏像のルーツにもつながっていると実感しました。
「るつぼ」の名にふさわしく、弥生時代から明治期まで、絵画・仏像・工芸・書など約200点に及ぶ貴重な作品群。もう二度と出会えないかもしれない本物たちを、しっかり目に焼き付けてきました。

京都で出会えたらラッキー!幻の「四葉タクシー」🍀

ふと交差点で目にしたのは――なんと「四葉タクシー」🚕✨
ヤサカタクシーが運行するこの特別なタクシーは、約1,300台のうち、わずか4台しか存在しない超レア車両です。通常のヤサカタクシーには三つ葉のクローバーマークが描かれていますが、この「四葉タクシー」は行灯や車体に四つ葉のクローバーがあしらわれています。
出会える確率と特徴
- 約1,300台中4台のみ(出会える確率は約1/325)
- 予約や指名は不可で、出会えるかは運次第
- 乗車できた場合、「乗車記念証」や「四つ葉ステッカー」がもらえることも
- ドライバーも選抜された10〜15名程度のみが担当
この四葉タクシーは、「乗ると幸せになれる」という噂があり、SNSでも話題になっています。京都を訪れる観光客や地元の人たちにも人気の都市伝説的存在です。
私が見かけた奇跡の瞬間
実は、昨年、三十三間堂を参拝したあと、京都国立博物館前の交差点でこの四葉タクシーを目撃しました!
あまりのレアさに「本当に存在したんだ…!」と感動し、旅の余韻がさらに特別なものになりました。まさにラッキーな体験です😊
ヤサカタクシーの「四葉タクシー」は、京都でしか出会えない幸運の象徴。予約はできませんが、見かけたらラッキー、乗れたらもっと幸運が訪れるかもしれません。
京都旅行の際は、ぜひ三つ葉マークのヤサカタクシーをチェックしながら、「四葉」を探してみてくださいね。
※本記事内の写真はすべて筆者が撮影したものです
おわりに|仏像を通して心にふれる時間を
仏像の世界は、本当に、奥深くて、美しくて、人の心に静かに響くものだと思います。
そこには、言葉にしきれない感動や、目の前の仏像から伝わってくる優しさ、強さ、そして静けさがあります。
それを理解できる人は少ないかもしれないけれど、私が発信し続けることで、「なんかいいかも」って思ってくれる人が、きっと少しずつ増えていくーーー
仏像の魅力を、もっともっと、世の中に伝えていけますように🙏✨
そんな思いを込めて、このブログを書いています😊
🇺🇸 English Summary(英語要約)
I visited the Kyoto National Museum for the special exhibition “Japan: A Crucible of Beauty – Traces of Cultural Exchange,” held in celebration of the Osaka-Kansai Expo. This stunning exhibit showcased not only world-renowned artworks like Hokusai’s Thirty-six Views of Mount Fuji and the National Treasure Wind God and Thunder God Screens by Tawaraya Sōtatsu, but also rare Buddhist sculptures such as the Five Wisdom Buddhas from Anshōji Temple and the unique statue of Rāhula from Manpuku-ji.
Despite the weekday visit, the museum was crowded, reflecting the popularity of the event. I especially enjoyed the peaceful museum café operated by Maeda Coffee, and participated in a free workshop to create a “shining letter set” with traditional patterns. The experience provided deep insight into how Japanese art has been influenced by and has embraced cultural diversity throughout the centuries—from the Yayoi and Kofun periods to the Meiji era.
For visitors exploring Kyoto by public transport, the museum is conveniently located near Sanjūsangen-dō Temple, another must-see destination. I highly recommend taking your time to enjoy both the exhibit and the surroundings.