京都府木津川市の岩船寺(がんせんじ)は、
三重塔とあじさいの「花の寺」として知られるお寺です。
でも、仏像彫刻好きの私がいちばん心をつかまれたのは、本堂の中でした。

本堂の中心には、高さ約3メートルの阿弥陀如来坐像。
制作年の分かる阿弥陀如来坐像の中で、最も古いと考えられている仏さまです。
そして、阿弥陀さまの後ろ側の小さな厨子の中にいらっしゃる普賢菩薩騎象像には、
岩船寺でいちばん長く見入ってしまいました。
この記事では、2025年12月10日に参拝したときの体験と、
お寺でいただいたパンフレットをもとに、
本堂の仏さま、三重塔、秘仏の公開日をまとめました。
結論:岩船寺は、三重塔だけでなく、本堂の仏さまにこそ会いに行きたいお寺
・本尊の阿弥陀如来坐像は946年の制作。
制作年の分かる阿弥陀如来坐像では、最も古いと考えられています(重要文化財)
・普賢菩薩騎象像は、113年ぶりの修復を終えて、2024年12月に本堂へ戻った平安時代の仏さま(重要文化財)
・秘仏(如意輪観音・弁財天・羅刹天)の公開は年3回。
1月1日〜15日・4月1日〜5月31日・10月1日〜11月30日
運営者について|ゆんゆんのプロフィール

はじめまして、ゆんゆんです。
福岡(九州)から公共交通機関だけを使って、
京都・奈良の寺社仏閣をひとりで巡っています。
きっかけは、京都・東寺で大日如来像に出会った時のこと。
理由はうまく言えないのに、ただ静かに心が整っていく感覚がありました。
あの瞬間の記憶が、今もこのブログを書く原動力になっています。
「仏像は怖い」という人もいますが、
私はむしろ、見守られているような安心感を感じます。
祈りの対象としてだけでなく、芸術作品として見ている自分にも気づきました。
1000年以上も前に作られたのに、こんなにも繊細で美しい
——この魅力を、後世にも大切に引き継いでほしいと思っています。
この感動を、少しでも多くの方に味わってほしくて、
初心者の方や女性のひとり旅の方にも読んでいただけるよう、
アクセス情報や体験をできるだけ丁寧に綴っています。
一つひとつのお寺・神社との出会いを、これからも大切に届けていきます。
岩船寺(がんせんじ)の本尊・阿弥陀如来坐像
山門をくぐると、正面に三重塔、向かって右手に本堂があります。

本堂の中心に、堂々と座る大きな阿弥陀さま
本堂に入ると、中心に大きな阿弥陀如来坐像が、堂々と鎮座されていました。
大きくて、圧巻のお姿です。
像の高さは約3メートル。ケヤキの一木造りで、両手は膝の上で定印を結んでいます。
衣には、つくられた当時の朱の彩色が残っているそうです。
平等院の阿弥陀さまより、100年ほど古い仏さま
像の中には「九年丙午」と読める墨書が残っていて、その干支から、
天慶9年(946年)の制作と考えられています。
平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像がつくられたのは1053年なので、
それより100年ほど前の仏さまです。
観光庁の多言語解説文でも、制作年の分かる阿弥陀如来坐像の中で、
岩船寺の像が一番古いと考えられている、と紹介されています。
平等院鳳凰堂の阿弥陀さまに会ったときのことは、こちらに書いています。
▶︎ 平等院鳳凰堂|見どころ・内部拝観・鳳翔館を体験レポで解説【京都・宇治】
二重の円の光背と、整ったやさしいお顔
光背は、よく見かける舟形ではなく、二重の円。
装飾を抑えた、シンプルな形です。
肉付きがよく、整ったやさしい表情をされていて、正直、とても私好みのお姿でした。
光背や手の形など、仏さまを見分けるポイントは、こちらにまとめています。
▶︎ 仏像の見分け方|如来・菩薩・明王・天部を見分ける5つのポイント

岩船寺の本堂|須弥壇の四隅を守る、四天王立像
阿弥陀さまの四隅に立つ四天王像も、迫力がありました。
鎌倉時代の像で、京都府の指定文化財です。
東に持国天、南に増長天、西に広目天、北に多聞天が立ち、多聞天の台座の裏には、
正応6年(1293年)の墨書が残っているそうです。

同じ日に参拝した浄瑠璃寺の本堂でも、国宝の持国天・増長天の美しさに見入りました。
▶︎ 浄瑠璃寺の九体阿弥陀堂と浄土庭園|平安の極楽浄土に会う
岩船寺の中で、いちばん長く見入った、普賢菩薩騎象像
小さな厨子の中の、存在感のある仏さま
阿弥陀さまの後ろ側にも、仏像が並んでいました。
その中で、私が見入ってしまったのが、普賢菩薩騎象像です。
小さな厨子の中にいらっしゃる、小ぶりな仏さま。
それでも存在感があって、ずっと見ていられました。
岩船寺の中で、いちばん長く見ていたのは、この仏さまだと思います。
離れがたかったです。
白い象に乗り、手を合わせるお姿
普賢菩薩騎象像は、平安時代の重要文化財。白い象の上に座り、手を合わせているお姿です。
一木造りの彩色像で、女性的でやさしい姿をしています。
もとは三重塔の中に納められていた像で、辰年・巳年生まれの守り本尊とされています。
象に乗るのが普賢菩薩、獅子に乗るのが文殊菩薩です。
獅子に乗る文殊菩薩については、こちらに書いています。
▶︎ 文殊菩薩騎獅像ならびに四侍者像(西大寺)|魅力や歴史・造形美を解説
113年ぶりの修復を終えて、本堂へ
公式サイトのお知らせによると、普賢菩薩騎象像は113年ぶりの修復を終えて、
2024年12月10日に岩船寺へ戻ってきました。
私が参拝したのは、そのちょうど1年後の2025年12月10日。
そのときは、まだ厨子の修復が続いていて、仮の厨子に入っていたそうです。
2026年の春には、修復を終えた厨子(法華曼荼羅の絹絵が描かれたもの)も、
本堂に戻っています。

岩船寺の本堂は思っていた以上に、たくさんの仏像群に会える
岩船寺の本堂には、思っていた以上にたくさんの仏さまがいらっしゃいました。
こんなに見られるとは思っていなかったので、
仏像彫刻好きの私には、たまらない時間でした。
本堂には次のような仏さまも安置されています。
- 十一面観音像(鎌倉時代)
- 十二神将像(室町時代)
- 薬師如来像・釈迦如来像・不動明王像(室町時代)
- 菅原道真像(室町時代・学問の神さま)
浄瑠璃寺と同じく、秋の特別公開期間が終わったあとの参拝だったので、
参拝客は私のほかに数組だけ。
仏さまと一対一で向き合う時間が、たくさん取れて嬉しかったです。

岩船寺の三重塔|年代を感じさせない、鮮やかな朱色
境内へ続く急な石段を上がり、山門をくぐると、正面奥に三重塔が建っています。
室町時代の嘉吉2年(1442年)の刻銘がある、重要文化財の塔です。
それなのに、年代を感じさせないほど、朱色が鮮やかでした。
パンフレットによると、平成15年(2003年)に三重塔の修理が行われ、
内部の壁画も復原されたそうです。
光が三重塔に差し込む瞬間がとても神秘的で、思わずその場に立ち止まり、
しばらく見入ってしまいました。

扉の向こうの壁画に、思いを馳せて
参拝した日は、特別公開が終わったあとだったので、三重塔の扉は閉じられていました。
内部には、十六羅漢図や五大明王像などの色鮮やかな壁画が描かれているそうです。
公式サイトで見た壁画を頭の中で思い浮かべながら、扉の向こうに思いを馳せました。

三重塔の初層は、4月末〜5月初めの大型連休と、
10月・11月の毎週土日祝に特別に開扉されます(雨天・荒天のときは中止の場合あり)。
岩船寺の秘仏・秘宝の公開日
- 秘仏特別公開(如意輪観音菩薩・弁財天・羅刹天):1月1日〜1月15日
/4月1日〜5月31日/10月1日〜11月30日 - 秘宝特別公開(岩船寺縁起・両界曼荼羅など):10月1日〜11月30日
- 三重塔初層の特別開扉:4月末〜5月初めの大型連休/10月・11月の毎週土日祝
公式サイトと、2025年12月にいただいたパンフレットより。
変わることもあるので、お出かけ前に公式サイトで確認してください。
秘仏の如意輪観音さま、弁財天さま、羅刹天さまにも、いつかお会いしたいです。

岩船寺の拝観情報
- 所在地:京都府木津川市加茂町岩船上ノ門43
- 拝観時間:3月〜11月 8:30〜17:00(受付は16:45まで)
/12月〜2月 9:00〜16:00(受付は15:45まで)・年中無休 - 拝観料:大人500円・中高生400円・小学生200円
- アクセス:JR加茂駅から木津川市コミュニティバス(加茂山の家行き)で約16分、
「岩船寺」下車すぐ
▶︎ 岩船寺 公式サイトより(2026年10月時点)
奈良駅からの行き方は、こちらにくわしくまとめています。
▶︎ 岩船寺アクセス完全ガイド|奈良駅から電車+バスで迷わず行く方法

岩船寺参拝のまとめ
岩船寺は、三重塔とあじさいで知られるお寺です。
でも本堂には、946年につくられた阿弥陀さまと、
113年ぶりに帰ってきた普賢菩薩、そしてたくさんの仏さまがいらっしゃいます。
人の少ない時期なら、仏さまと一対一で、ゆっくり向き合うことができます。
秘仏の公開の時期に、いつかもう一度訪れたいと思います。

浄瑠璃寺とあわせて巡るなら、こちらも参考にしてください。
▶︎ 浄瑠璃寺・岩船寺を一泊で巡る|当尾エリアの仏像旅プラン【奈良発】
