はじめに|世界遺産・天龍寺で本堂と庭園を両方拝観

天龍寺(てんりゅうじ)は嵯峨嵐山エリアを代表する名刹で、世界遺産にも登録される寺院です。
特別公開の時期に訪れた際、本堂の釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)と曹源池庭園(そうげんちていえん)の美しさを堪能しました。特に本堂に安置される釈迦如来坐像(Shakyamuni seated Buddha)の存在感に深く心が動かされました。
本記事では、仏像の鑑賞ポイント、庭園の見どころ、そして歴史的背景と自然が融合する空間で過ごした時間の参拝体験をお伝えします。
本堂の中心——釈迦如来坐像(拝観の見どころ)
釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)は、本堂の中心で参拝者を静かに見守る存在です。表情の落ち着き、衣の流れ、坐した姿勢から放たれる安定感は、まさに仏教の核となる「静寂と覚り」を体現しているように感じられました。
鑑賞のポイント:顔の表情(半眼や口元の表現)、手の印(印相)、衣文の彫りの深さと流れ、像が置かれた本堂空間との関係性(光や空気感)を順に観察すると理解が深まります。
天龍寺の釈迦如来坐像とは
天龍寺の本堂にあたる大方丈に安置されている重要文化財の仏像です。
- 作成年代:平安時代後期(具体的年代不明)
- 素材・造立方法:檜材の寄木造りで、頭部と体幹部は一材から彫り出され、膝前は別材を接ぎ合わせている割矧ぎ造り。彫眼、漆箔仕上げ(現状は剥落あり)
- 像高:約88.5cm
- 台座や光背はなく、過去にはあったと考えられている
- 特徴的な印相は右手が施無畏印(恐れを取り除く印)、左手が与願印(願いを聞く印)
- 天龍寺が受けた8度の火災にも焼失せず、寺の中で最も古い仏像である
- 大方丈中央の室中の間に安置されており、一般参拝者は木柵の外から拝観可能
この釈迦如来坐像は、天龍寺創建よりも古く、歴史的にも芸術的にも価値の高い仏像として国の重要文化財に指定されています。
天龍寺の本堂には、穏やかな表情をたたえた釈迦如来坐像が祀られています。その静かな存在感は、参拝する人々の心を落ち着けてくれるものでした。堂内は特別公開の時期ならではの拝観が可能で、荘厳さを身近に感じられる貴重な機会でした。
曹源池庭園(夢窓疎石作庭)の魅力

夢窓疎石(むそう そせき)によって作庭された曹源池庭園(そうげんちていえん)は、嵐山や亀山を借景とする壮大な池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)庭園です。
この庭園は天龍寺のもう一つの主役です。本堂に座して庭園を眺める体験は「見る禅」とも呼べるほど心が落ち着きます。季節ごとに表情を変えるため、何度訪れても新しい発見があります。
おすすめの楽しみ方:本堂内部でしばらく静かに座り、庭園の構図(配置された島や石、樹木のリズム)を目で追うことで、作庭者の意図や時間の流れを感じられます。
拝観情報・アクセス(目安)
- 住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町
- 最寄駅:京福電鉄(嵐電)「嵐山」駅/JR嵯峨嵐山駅から徒歩10分程度
天龍寺の特別公開期間中は、主要な仏像である「釈迦如来坐像」が一般公開されています。2025年の特別公開は春(3月1日~6月1日)と秋(9月20日~12月7日)に毎日開催され、その期間中は法堂の「雲龍図」とともに「釈迦如来坐像」も拝観可能です。
※特別公開期間以外は土日祝日のみの公開となり、行事などにより参拝できない日もあるそうです。訪問時は必ず▶︎天龍寺公式サイトの情報を確認ください。

まとめ|参拝体験(個人的な印象と状況)
庭園で過ごした特別な時間

この日はちょうど小雨が降ったり止んだりしていました。雨が上がった時には庭園を散歩し、雨が降り出すと縁側に腰を下ろして、雨音を聴きながら色づき始めた木々をただ眺めていました。日々、何かに追われるように忙しく過ごしていた私にとって、「ぼーっとする時間」はとても贅沢なひととき。その時間があるだけで「ここまで来て本当に良かった」と心から思いました。
あれから3年。今ではその忙しさから離れ、自分らしく生きるために、日常の中でもゆっくりとした時間を大切に過ごしています。振り返れば、あの天龍寺での体験が今の私をつくっているのだと感じます。
釈迦如来坐像と庭園がくれた静けさ
天龍寺の釈迦如来坐像と曹源池庭園は、それぞれ単体で強い存在感を持ちながら、本堂という空間を通して互いに響き合います。特別公開で両方をじっくり味わえたことは貴重な体験でした。仏像鑑賞と庭園観賞を組み合わせた静かな時間を求める方に、ぜひ訪れてほしい場所です。
周辺の立ち寄りスポット(嵯峨嵐山)
周辺の寺院や飲食スポットもあわせて訪れることで、嵯峨嵐山エリアでの一日がより充実したものになるでしょう。

- 嵯峨野トロッコ / 渡月橋|嵐山エリアの定番観光スポット。季節ごとの景観が美しい。
- 常寂光寺(じょうじゃっこうじ)|紅葉の名所で、石段や小径の風情が魅力。
- 清涼寺(せいりょうじ)|嵯峨釈迦堂として知られ、仏像や霊宝館が見どころ。
- 二尊院(にそんいん)|釈迦如来と阿弥陀如来が並ぶ珍しい二尊像
- 鯛匠 HANAHANA|地元で人気の鯛茶漬けランチ


写真撮影とマナー
- 堂内や宝物展示は撮影不可のことが多いので掲示や係員の指示に従ってください。
- 静かな空間を保つため、携帯や会話は控えめに。深呼吸してから鑑賞すると集中できます。
- 庭園では他の鑑賞者の邪魔にならないよう、ゆっくりと角度を変えて眺めましょう。
🇺🇸 English summary(英語要約)
Tenryu-ji Temple in Arashiyama is a UNESCO World Heritage site where visitors can experience both the main hall—home to the serene Shakyamuni seated Buddha—and the exquisite Sōgen-chi (caosenchi) garden by Muso Soseki. During the special exhibition I visited, the calm presence of the seated Buddha and the rhythmic composition of the garden complemented each other, creating a meditative atmosphere. This article offers practical visiting tips, key points for appreciating the statue and garden, and reflections on the experience.