※本記事には広告が含まれています。
京都・嵯峨野の清凉寺(せいりょうじ)。
「嵯峨釈迦堂」とも呼ばれるこのお寺に、
私は特別拝観の季節をえらんで
二度、足を運びました。
一度目は秋、そして今回は春。
同じ仏像に、
季節を変えて会いに行ったのです。
不思議なもので、
同じ仏さまでも、
訪れるたびに見え方が変わります。
前回は気づかなかった
釈迦如来の“珍しさ”に向き合えたり、
心を強く引かれる仏像そのものが入れ替わっていたり。
そのたびに、
自分自身の心の変化にも気づかされました。

この記事では、
清凉寺の特別拝観で出会える
仏像たちの見どころと歴史を、
私自身の体験を交えながらご紹介します。
公共交通でめぐる静かな嵯峨野で、
心が少しずつ整っていく
——そんな時間が、
ここにはありました。
京都・清涼寺|嵯峨野の地に佇む「釈迦堂」と貴重な仏像たち
京都・嵯峨にある清涼寺は
「嵯峨釈迦堂(さがしゃかどう)」とも呼ばれ、
平安時代から信仰を集めてきた古刹です。

境内は落ち着いた雰囲気に包まれ、
参拝客も比較的少なめ。
静かなひとときを過ごすことができました。
参拝体験|仁王門から始まる清涼寺めぐり
清涼寺へは
JR嵯峨嵐山駅から徒歩で向かいました。
駅は多くの人で賑わっていましたが、
嵐山とは反対方向に進むため、
清涼寺へ向かう道は
観光客が少なく落ち着いた雰囲気。
15分ほど歩くと、
大きな仁王門が出迎えてくれました。

カメラに収まりきらないほどの迫力があり、
その姿を写真に収めるために、
思わず遠くまで下がって
シャッターを切ったのを覚えています。
ここから、ゆったりとした
清涼寺での参拝が始まりました。
清凉寺のご本尊|釈迦如来立像(本尊・国宝)
国宝として知られ、
宋(北宋)時代の985年に中国で造られ、
奝然(ちょうねん)上人によって
日本に請来されました。

通常の日本の釈迦像とは違い、
髪型は渦巻き状、
衣は胸を中心に同心円状に波打つ
独特の衣文が特徴です。
この像は「三国伝来の釈迦像」とも呼ばれています。
- 像高:約160cm
- 985年(北宋)に中国・張延皎兄弟によって造像、日本へ請来
- 髪型は螺髪ではなく、縄の渦巻き形
- 清凉寺式釈迦如来、生身の釈迦像
- 衣文が胸を中心に波状、細身長身で写実的な姿
- 生身仏信仰の対象であり、
像内には世界最古級の内臓模型納入品が格納されている
「生身の釈迦如来」とは
釈迦が実際に生きていた姿を
そのまま写しとったとされる仏像で、
通常の如来像よりも
人間味・生動感が強調されています。
清凉寺の本尊「釈迦如来立像」はその代表で、
インド、中国、日本を経て伝来した「三国伝来」の像です。
由来と信仰
- 伝説では釈迦が存命中、
王がその姿を写して仏像を造らせたものとされます。
「優填王思慕像」が原型となった仏像です。 - 実際に生身の釈迦そのものとして信仰され、
「生きている仏」としての御利益を願う
生身仏信仰が生まれました。

清凉寺式釈迦如来像の特徴
- 頭髪は日本の如来像によくある螺髪ではなく、
縄を巻いたような大きな渦巻き形
(ガンダーラ様式に由来)。 - 衣は両肩を覆い、
胸の中央で同心円状の流れる衣文(流水文)。 - 本体内部には絹で作られた五臓模型など
納入品が収められている(世界最古級)。 - 模刻像が鎌倉時代以降各地に100体近く存在し、
「清凉寺式釈迦像」と呼ばれる。
意味
つまり清凉寺の「生身の釈迦如来」は、
伝説と特徴的な造形から
“実在したお釈迦様そのもの”
として尊崇され続けています。
清涼寺|霊宝館で見れる御仏像|公開期間は毎年春と秋の2ヶ月間ずつ

※公開期間は毎年春秋2ヶ月間ずつのみ
(特別拝観料:¥900)2026.05時点
阿弥陀三尊像(国宝)
- 阿弥陀如来坐像(中央、藤原時代前期)
- 両脇侍:観音菩薩坐像・勢至菩薩坐像
- 「光源氏移し顔」とも呼ばれ、
源融の供養のために建立された旧棲霞寺本尊
十大弟子立像(重要文化財)
- 元は本堂釈迦如来の脇侍、霊宝館に移されている
- 富楼那(ふるな)像、
羅睺羅(らごら)像など個性ある表情の弟子像
文殊菩薩騎獅像・普賢菩薩騎象像(いずれも重要文化財)
- 平安時代~鎌倉初期作
四天王像(重要文化財)
- 詳細は不明ながら霊宝館で展示可能

仏像以外にも、
清凉寺釈迦如来像の胎内納入品
(五臓六腑の復元模型、経典、瑞像造立記等)が
同館2階で公開されています。
清凉寺は「生身の釈迦如来」および阿弥陀三尊、
その他平安~鎌倉期の仏像が所蔵されており、
仏像ファンにとって大変貴重な鑑賞スポットです。
本堂|ご本尊の釈迦如来立像を拝観
清凉寺のご本尊は「釈迦如来立像」です。
その拝観方法には、主に3通りあります。
① 通常拝観で、厨子の中に
安置されたお姿を拝むことができます。
(実際には見れません。)
② 毎月8日のご開帳
③ 春と秋に行われる特別公開
私は2022年の秋の特別公開に訪れました。
本堂開扉の時間中は
ずっと厨子が終日開かれた状態で
釈迦如来立像を直接拝観することができました。
間近で拝むことができたその体験は、
忘れられないものとなっています。

そして、この釈迦如来の
“特別さ”を深く知ったのは、
昨年のことでした。
奈良国立博物館の特別展
「超 国宝―祈りのかがやき―」(2025年)で、
清凉寺の釈迦如来の像内納入品
——胎内に納められていた
霊山変相図などに出会ったのです。
この清凉寺の釈迦如来は、
絹で作られた五臓六腑(内臓)まで
胎内に納めた“生身の釈迦”として作られた特別な像。
前回はその珍しさを知らないまま
手を合わせていた私ですが、
背景を知ったうえで、
今回の春の特別拝観で
もう一度じっくりと向き合うことができました。
同じ仏像でも、
知ってから見ると、
こんなにも見え方が変わるのだと
実感した時間でした。
霊宝館の特別公開|圧巻の仏像群との出会い
一度目の訪問の中で特に印象深かったのは、
春と秋の特別公開で拝観できる
「霊宝館」での仏像群です。

館内には国宝や重要文化財を含む
仏像がずらりと安置され、
国宝の阿弥陀三尊坐像をはじめとする
尊像の数々に圧倒されました。
その中でも文殊菩薩像と
普賢菩薩騎象像(帝釈天とも伝わる)に強く惹かれました。
静かな空間でじっくりと仏像と向き合う時間は、
心を浄化してくれるようで、
「また訪れたい」と強く感じました。
霊宝館の仏像群の中で
強く惹かれた御仏像について少し補足します。↓
文殊菩薩騎獅像・普賢菩薩騎象像(帝釈天とも伝わる)とは
- 文殊菩薩騎獅像(もんじゅぼさつきしぞう)
平安時代後期の作で、
本堂の釈迦如来立像の脇侍として安置されていた像です。
霊宝館に収蔵され、春・秋の特別公開期間に展示されています。
獅子に乗る形の彫刻で、知恵の菩薩として信仰されています。 - 普賢菩薩騎象像(ふげんぼさつきぞうぞう)
こちらも平安時代後期の作で、
象に乗った普賢菩薩の像です。
文殊菩薩像と同様に本堂の釈迦如来の脇侍像で、
霊宝館に収蔵されています。
春・秋の公開時に拝観可能です。
この2躯の騎獅像・騎象像は
本尊釈迦如来を取り巻く重要な脇侍として、
清凉寺霊宝館の主な展示文化財の一つとなっています。

そして、二度目の訪問の今回、
いちばん心が動いたのは、
自分自身の“変化”でした。
前回この霊宝館を訪れたときは、
文殊菩薩や普賢菩薩(騎象像)の
堂々とした姿に、強く惹かれていました。
ところが今回、
私の心を強くとらえたのは、
阿弥陀三尊像のほうでした。
光源氏のモデルとされる
源融(みなもとのとおる)が、
自らの面影を写させたとも伝わる仏さまです。
同じ私なのに、
惹かれる対象が変わっている。
その自分の感情の移ろいに、
いちばん驚かされた参拝でした。
経堂体験|回すたびに心が整う

境内では「経堂」を回す特別な体験
(有料100円/2022年10月時点)もできます。
大きな堂をゆっくりと押しながら一周することで、
経典を読誦したのと同じ功徳が得られるとされます。
手に伝わる重みや響く音に自然と心が落ち着き、
無心になっていくような感覚を味わいました。
まさに「体験する祈り」の時間です。
庭園の美しさ|静けさに包まれる癒しの空間
本堂周辺には手入れの行き届いた庭園が広がり、
四季折々の風景を楽しめます。
苔や木々、石の配置が美しく調和し、
参拝客も少ないため、静かに散策できるのが魅力。

仏像や堂宇だけでなく、
庭園そのものも
清涼寺の大きな見どころだと感じました。

緑豊かな木々に囲まれた静かな空間で、
都会の喧騒を忘れさせてくれるような落ち着きがあります。
時期的にも紅葉の季節(10月)でしたので、
木々が色づき始めていてとても綺麗でした。
赤や橙に少しずつ変化していく葉が、
庭園の緑に映えて、
心がすっと澄んでいくような感覚を覚えました。
ゆったりと流れる時間に身をゆだねながら、
ただ座って眺めているだけで癒される、
そんな特別なひとときでした。


境内のカフェでひと休み|庭茶屋「Bhagavan(ヴァガバァーン)」
今回はもうひとつ、
前回にはなかった楽しみがありました。
清凉寺の境内にある
庭茶屋「Bhagavan(ヴァガバァーン)」での
ランチです。
2023年7月にオープンしたこのカフェは、
作庭家のオーナー(瑠璃光院などの名庭を手がけた
庭師・松浦剛さん)が、
長く閉まっていた境内の古い茶屋を改装したお店。

古民家を現代風にアレンジした、
和モダンで落ち着いた空間です。
その日はちょうど小雨が降っていて、
窓際の席からは、
しっとりと濡れた清凉寺の境内を
眺めることができました。

静かな雨音を聞きながらいただいた
カレーセットは、忘れられない味です。
じつはお店に入ってから気づいたのですが、
このカフェ、私がおすすめしている
ガイドブック「まっぷる京都 社寺めぐり」にも
紹介されていました。↓

そして店名の「Bhagavan」は、
サンスクリット語で“お釈迦さま”を意味する言葉。
釈迦如来をご本尊とする
釈迦堂(清凉寺)に、
これ以上ないほどふさわしい名前のカフェでした。
京都・清涼寺|参拝情報・アクセス方法
- 所在地:京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町46
- 拝観時間:9:00〜16:00
- 春と秋の特別拝観料金:¥900(2026年5月時点)
- 最寄駅:JR嵯峨嵐山駅から徒歩15分
/市バス「嵯峨釈迦堂前」下車すぐ
詳しい情報等は
▶︎清涼寺公式サイトにてご確認ください。
清凉寺(嵯峨釈迦堂)周辺|おすすめ神社仏閣
これらの寺社は徒歩圏内にあり、
それぞれ歴史的背景や庭園、
文化財、自然の美しさが楽しめます。
嵯峨野・嵐山エリアの散策にぜひお役立てください。

- 常寂光寺(じょうじゃっこうじ)
小倉山山麓に佇む寺院。
苔と紅葉が美しいことで知られ、静かに山寺の風情が味わえます。 - 大覚寺(だいかくじ)
清凉寺の東北へ徒歩12分。嵯峨天皇の離宮を寺に改めた古寺。
皇族が住職を務める格式高い門跡寺院です。 - 二尊院(にそんいん)
清凉寺から西へ徒歩約9分。
釈迦如来と阿弥陀如来の二尊を本尊とし、
紅葉の名所としても知られています。 - 天龍寺(てんりゅうじ)
世界遺産であり嵐山を代表する禅寺。
広大な庭園や回遊式の池泉庭園が有名で、
桜・紅葉シーズンは特に美しい景観が楽しめます。
清凉寺をゆっくり巡った後は、
嵐山エリアで立ち寄れる
日帰り温泉で癒しのひとときを。
まとめ|静かな嵯峨で心を整える旅
清涼寺での参拝体験は、
仁王門から始まり、
霊宝館の特別公開での圧巻の仏像群との出会い、
経堂を回す祈りの体験、
そして静かな庭園の散策と、
心を整えてくれる時間の連続でした。
観光客の少ない落ち着いた雰囲気の中で、
自分自身とゆっくり向き合える
貴重なひとときとなりました。
仏像の迫力に圧倒されながらも、
同時に癒しや安心感を与えてくれる空間
──それが清涼寺の魅力だと感じます。

嵯峨の観光の中で
「心静かに仏像と向き合う旅」を
したい方におすすめです。
季節を変えて何度でも
訪れたくなるお寺でした🙏✨
「まっぷる京都 社寺めぐり」を参考にしました。
地図と写真が分かりやすく、
公共交通で巡る方には特に心強い1冊です。
※ ガイドブックの詳しい内容は、
こちらにまとめています。
▶︎京都の社寺巡りに行く前に|私が使っているガイドブック
おわりに|仏像を通して心にふれる時間を
仏像の世界は、本当に、奥深くて、美しくて、
人の心に静かに響くものだと思います。
そこには、言葉にしきれない感動や、
目の前の仏像から伝わってくる優しさ、強さ、
そして静けさがあります。
それを理解できる人は少ないかもしれないけれど、
私が発信し続けることで、
「なんかいいかも」って思ってくれる人が、
きっと少しずつ増えていくーーー
仏像の魅力を、もっともっと、
世の中に伝えていけますように🙏✨
そんな思いを込めて、
このブログを書いています😊

