【常寂光寺】仁王像とは?運慶作と伝わる嵯峨野の守護仏を解説|京都

仏像の種類と特徴

京都・嵯峨野の
常寂光寺(じょうじゃっこうじ)には、
寺伝で鎌倉彫刻の巨匠・運慶作と伝えられる仁王像が、
仁王門に常時安置されています。

像高約2.1mの金剛力士像一対は、
紅葉の名所として知られる境内への入口で、
今も参拝者を静かに見守る存在です。

ただし、この仁王像は
運慶の真作と確定しているわけではなく、
「伝・運慶作」として扱われています。

銘文などの決定的資料はなく、
美術史的には慶派(運慶工房)との
関係が想定される段階です。


本記事では、
常寂光寺の仁王像について、
・来歴
・見どころ
・信仰
・運慶作伝承の位置づけ
を、仏像初心者にも分かる言葉で解説します。

紅葉だけではない、
嵯峨野の山寺に息づく仏像の魅力を感じてみてください。


【伝・運慶作】常寂光寺の仁王像とは?嵯峨野の山門で出会う鎌倉彫刻の力強さ

京都・嵯峨野の紅葉名所として知られる
常寂光寺(じょうじゃっこうじ)

その参道入口に立つ茅葺きの仁王門には、
寺伝で鎌倉彫刻の巨匠・運慶作と伝えられる
仁王像(金剛力士像)が安置されています。

本記事では、
常寂光寺の仁王像に特化し、
来歴・見どころ・信仰・運慶作伝承の位置づけまで、
仏像初心者にも分かりやすく解説します。



常寂光寺の仁王像とは?【基本情報】

常寂光寺の仁王像は、
仁王門の左右に安置された金剛力士像一対(阿形・吽形)です。

寺伝では、鎌倉時代を代表する
仏師 運慶(うんけい)作と伝えられています

  • 像高:約七尺(約2.1m)
  • 時代:鎌倉時代風
  • 作者:運慶作と伝承(真作未確定)
  • 拝観:常時拝観可能(門前)



仁王像の来歴|若狭・長源寺から嵯峨野へ

伝承によると、これらの仁王像は、
もともと福井県・若狭小浜にある長源寺
安置されていたものとされています。

その後、常寂光寺の創建後に
現在の地へ移されたと伝えられていますが、
移動の詳しい年代や経緯については、
確実な文献資料は一般公開されていません。

このように、常寂光寺の仁王像は
「伝承を大切に受け継いできた仏像」であることが特徴です。



仁王門について|日蓮宗本圀寺からの移築

仁王像が安置されている仁王門そのものも、
非常に由緒ある建物です。

この門は、
日蓮宗本山・本圀寺(ほんこくじ)の客殿南門として、
貞和年間(1345〜1349年頃)に建立されたものを、
元和2年(1616年)
常寂光寺へ移築したと伝えられています。

茅葺(かやぶき)・藁葺き風の素朴な門と、
力強い仁王像の対比が、
山寺らしい緊張感を生み出しています。



造形の見どころ|素朴な山門に宿る力強さ

像高約2.1mという堂々とした体躯に、
鋭い眼差しと引き締まった足腰。

豪壮な大寺院の仁王像とは異なり、
自然に囲まれた山寺と調和する力強さが感じられます。

特に注目したいのは、目の表情と下半身の安定感

参道の結界として、
訪れる人を静かに見据える存在感があります。



信仰|目と足腰の病に霊験あり

常寂光寺の仁王像は、
古くから目の病や足腰の不調に霊験がある
信じられてきました。

そのため、近在の檀信徒や参拝者が、
草鞋(わらじ)を奉納して病気平癒を祈る風習が今も続いています。

観光地でありながら、
今なお生きた信仰の対象である点も、
この仁王像の大きな魅力です。



運慶作伝承について|「真作」と断定できるのか?

常寂光寺の仁王像は、
寺の案内や観光資料、
仏像紹介サイトでも一貫して
「運慶作と伝えられる」「伝・運慶作」と表現されています。

現時点では、
銘文や作者を直接示す一次史料は確認されていません

そのため、美術史的には
運慶本人の真作と断定できる段階ではないと整理されています。

一方で、力動感のある体躯表現などから、
運慶工房(慶派)系の作風を思わせる点は注目されています。



東大寺南大門の仁王像との比較

作品名安置寺院像高真贋
南大門 金剛力士立像奈良・東大寺約8.5m運慶真作(国宝)
常寂光寺 仁王像京都・常寂光寺約2.1m伝・運慶作

東大寺像が圧倒的な迫力を誇るのに対し、
常寂光寺の仁王像は、
親しみやすく、山寺に寄り添う存在といえるでしょう。

▶︎ 奈良・東大寺|南大門の金剛力士立像とは



仏像の中でも、今なお多くの人の心を惹きつける存在が
奈良・興福寺の阿修羅(あしゅら)像です。

阿修羅像の表情・造形・魅力を初心者にもわかりやすく解説した記事はこちら


境内での位置づけ|紅葉の名所を守る結界

常寂光寺の仁王像は、参道入口に立ち、
紅葉で知られる境内への結界としての役割を果たしています。

奥にある多宝塔(国重要文化財)や、
藤原定家ゆかりの歌仙祠と並び、
常寂光寺の歴史と景観を象徴する仏教美術のひとつです。

常寂光寺は、仁王像だけでなく、
嵯峨野屈指の紅葉名所としても知られています。

私が訪れたのは紅葉前の10月で、
雨もあり、境内は驚くほど静かでした。

観光のピークを外した 常寂光寺の散策体験 も、あわせて残しています。




拝観情報|常時拝観できる貴重な仁王像

  • 拝観時間:9:00〜17:00(受付16:30/季節変動あり)
  • 拝観料:500円(境内全体の入場料で仁王像を含む)
  • 拝観場所:仁王門(常時拝観可)

門前に安置されているため、いつでも拝観できるのも魅力です。





まとめ|「伝承」を含めて味わいたい仁王像

常寂光寺の仁王像は、
運慶真作と断定できる資料はないものの、
鎌倉彫刻の力強さと、
山寺の信仰が今も息づく貴重な存在です。

嵯峨野を訪れた際は、紅葉だけでなく、
門前で静かに佇む仁王像にもぜひ目を向けてみてください

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