はじめに|紅葉と仏像が織りなす、京都の特別な一日

秋の京都は、赤や橙に染まるもみじと歴史ある寺院の佇まいが魅力です。その中でも京都・南禅寺は、法堂に祀られる釈迦如来や境内の景観が印象的。今回は南禅寺を主役に、徒歩や公共交通で立ち寄れる平安神宮・金地院を組み合わせた一日モデルコースを紹介します。仏像を目的にした旅の“軸”を保ちながら、京都らしい紅葉や庭園風景も同時に楽しめる構成です。
南禅寺——法堂の釈迦如来に会う

南禅寺・法堂の釈迦如来坐像
南禅寺の法堂には、本尊として釈迦如来像が安置されています。法堂は僧侶が経典の講義や説教を行う場所で、その中心にある釈迦如来は須弥壇上の中央に位置し、右に獅子に騎る文殊菩薩、左に象に騎る普賢菩薩の三尊像として祀られています。釈迦如来は仏教の開祖であり、法堂の精神的な中心です。
また、法堂の天井には明治時代の日本画家・今尾景年による大作の雲龍図が描かれており、龍は仏法を守護し、雨を呼ぶ水神としての役割もあり、仏法の教えが雨のように降り注ぐ様子を象徴しています。これにより法堂は祈りと教えの場として、深い宗教的意味合いを持っています。
この釈迦如来像と共に文殊菩薩、普賢菩薩の三尊形式は、智慧と慈悲のバランスを象徴し、参拝者に悟りの道を考えさせる重要な見どころとなっています。
※南禅寺の法堂(本堂)は「外から参拝可能」であり、堂内に入ることはできません。扉越し・柵越しに内部の本尊を拝観する形になります。
南禅寺の見どころ
- 三門:高さ約22メートルで日本三大門の一つに数えられ、「天下竜門」とも呼ばれます。三門の上の「五鳳楼」からは京都市内の絶景が楽しめ、春の桜や秋の紅葉の名所でもあります。
- 水路閣:明治時代の琵琶湖疎水の一部である赤レンガ造りのアーチ橋。フォトスポットとして人気が高く、古代ローマの水道橋のような趣があります。
- 方丈と庭園:国宝の「大方丈」「小方丈」があり、庭園は枯山水の名庭「虎の子渡しの庭」として有名。四季を通じて松や紅葉の美しい景観が楽しめます。
- 天授庵や南禅院の庭園:池泉回遊式庭園や枯山水庭園など、多様な日本庭園が見られます。
- 豊かな自然と歴史的建築の融合:境内全体が国の史跡に指定されており、歴史的建造物と自然の調和が魅力です。
南禅寺の荘厳な禅宗様式建築や歴史的価値とともに、四季折々の自然美も堪能できるポイントとなっています。
周囲の紅葉との調和も素晴らしく、三門や水路閣と合わせた風景は写真映えも抜群です。

個人的には、三門楼上からの眺めが「絶景」で感動しました。次回訪れた際は、またあの絶景をこの目で見たいと思っています😊

アクセス・拝観情報

- アクセス:地下鉄東西線・蹴上駅から徒歩約10分、または市バスで南禅寺・永観堂道下車。
- 拝観時間:季節により異なるため南禅寺公式情報を要確認。
- 拝観マナー:堂内は静粛に。写真撮影が禁止の場所もあるので掲示に従うこと。
平安神宮——朱色の社殿と庭園を楽しむ

南禅寺からほど近い平安神宮は、仏像の安置はないものの、朱塗りの大極殿と広い神苑が魅力です。特に秋は庭園の紅葉が美しく、仏像鑑賞の余韻を残したまま京都の別の顔を楽しめます。
また、平安神宮といえば、私にとって学生時代の青春を彩った推し・堂本剛さんが、毎年秋にライブを行っている場所でもあります。今年で25回目を迎えるそうで、そんな特別な場所を訪れることができると思うと、より一層ワクワクした気持ちになりました。
平安神宮の見どころ
- 大鳥居:高さ24m、幅18mの朱色の大きな鳥居で、平安神宮のシンボルかつ岡崎地区のランドマークです。写真撮影スポットとしても人気です。
- 應天門:平安京の正門を8分の5の大きさで忠実に模した門で、重要文化財に指定されています。弘法大師の書いた「應天門」額の由来など逸話も興味深いです。
- 大極殿(本殿):平安京の朝堂院正庁を復元した建物で、鮮やかな朱色と碧瓦の屋根が美しく荘厳です。主祭神の桓武天皇と孝明天皇が祀られています。
- 平安神宮神苑:約33,000㎡の池泉回遊式日本庭園で、東・西・中・南の4つの庭からなり、四季折々の花や景色が楽しめます。特に睡蓮やしだれ桜、カキツバタ、紅葉が有名です。
- 歴史的建築群:白虎楼・蒼龍楼なども重要文化財で、四神の守護の象徴を体感できます。
- 年中行事:毎年10月の時代祭は京都三大祭りの一つで、約2,000人が平安時代の装束で市街地を練り歩く壮大なイベントです。
これらを巡ると、平安時代の雅な雰囲気と明治期の復興文化、豊かな自然美を存分に味わえる見学コースとなっています。
※平安神宮は2025年現在、創建130年を迎える記念事業として、重要文化財の社殿の塗り替えや耐震補強などの改修工事が行われています。本殿や大極殿の一部は改装中で、神社の一部景観に工事の様子が見られる状態です。参拝は可能ですが、本殿などの建物は改装中です。
金地院——塔頭の静かな庭園でひと息

金地院(こんちいん)は南禅寺の塔頭(たっちゅう)にあたり、仏像の展示は少ない場所もありますが、小堀遠州作と伝わる枯山水庭園の静けさは特筆もの。拝観の合間に“座って眺める”時間が取れると、旅全体の深みが増します。
金地院で注目したい点
金地院の方丈は伏見桃山城の建物が移築され、襖絵は狩野探幽と尚信の作品です。庭園は小堀遠州作の枯山水庭園「鶴亀の庭」で、国の特別名勝に指定されており、鶴や亀を象った石組が有名です。また、東照宮があり、徳川家康の遺言によって建てられた三つの東照宮の一つでもあります。
明智門や豊国神社の唐門など、歴史的な建築物も見どころです。金地院は南禅寺の中でも格式が非常に高く、豊かな歴史と文化が詰まった寺院です。
小さいながら凝縮された庭園美を感じました。紅葉シーズンはゆっくり座って眺めたい場所です。
モデルコース(時間配分の例)
※以下は歩く・公共交通を使った半日〜1日コースの一例です。
- 午前(9:00〜11:30):南禅寺で釈迦如来を拝観・三門・水路閣を散策。
- 昼(12:00〜13:00):南禅寺周辺で湯豆腐や和食ランチ。
- 午後(13:30〜15:00):平安神宮の神苑散策(朱塗りの社殿を見学)。
- 午後遅め(15:30〜16:30):金地院で庭園をゆっくり眺める。
移動は徒歩とバスを併用するのが便利です。朝早めに回ると混雑を避けやすいです。
また、南禅寺から平安神宮までは、バスが便利ですが、徒歩でも約20分ほどで着きます。

写真撮影のコツ&拝観時の注意点
- 紅葉撮影:逆光で葉を透かすと色が鮮やかに出やすい。広角で堂と紅葉を一緒に入れる構図が王道。
- 混雑回避:平日午前中〜昼前が比較的落ち着いています。
- 服装・マナー:堂内は冷えることがあるので羽織れるものを。静かに鑑賞する心がけを。また、天気が変わりやすいので、折りたたみ傘があると安心です。
まとめ
南禅寺の釈迦如来を中心に据えることで、仏像を目的とした旅の“軸”ができます。平安神宮や金地院は仏像そのものを目的にする場所ではありませんが、歩きやすい距離にあり、紅葉や庭園という“彩り”を加えてくれます。仏像鑑賞の時間を大切にしつつ、少し寄り道をして自分だけの京都の一日を作ってみてください。
参考・関連リンク(公式情報を確認してください)
- 南禅寺 公式サイト(拝観案内) — ※最新の拝観情報は公式をご確認ください。
- 平安神宮 公式サイト(神苑・拝観)
- 金地院(塔頭) 拝観案内
🇺🇸 English Summary(英語要約)
“Experience the harmony of Buddhist art and autumn colors at Nanzen-ji Temple in Kyoto. Discover the serene Shakyamuni Buddha in the Dharma Hall, walk among fiery autumn leaves at the Sanmon gate and aqueduct, and extend your journey to nearby Heian Shrine and Konchi-in for gardens and architecture. A perfect one-day route for travelers seeking both spiritual encounters and seasonal beauty.”