京都東山・泉涌寺|楊貴妃観音像と三尊仏の魅力をやさしく解説

寺院ガイド(所蔵寺院)

京都・東山にある泉涌寺(せんにゅうじ)は、皇室ゆかりのお寺として、どこか特別な静けさが漂う場所です。その中で、ひときわやわらかな存在感を放つのが、美人祈願で親しまれている「楊貴妃観音像」と、穏やかに佇むご本尊である運慶作の「釈迦・阿弥陀・弥勒の三尊仏」です。

この記事では、楊貴妃観音像三尊仏の魅力や歴史・造形美を分かりやすく説明します。

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楊貴妃観音像とは|“美仏”と讃えられる理由

泉涌寺の中でも、とくに多くの人を惹きつけてきたのが楊貴妃観音像(ようきひかんのんぞう)です。唐の絶世の美女・楊貴妃になぞらえて呼ばれている、とても貴重な観音さまです。

  • 重要文化財指定
  • 正式名称:楊柳観音(ようりゅうかんのん)
  • 像高:約114cmで、等身大の坐像
  • 素材:香木の白檀
  • 繊細な彩色が施されている
  • 豪華な山形宝冠や練り物の頭髪が特徴
  • 作者:不詳

繊細な彩色が施された衣、豪華な山形宝冠、丁寧に作られた頭髪など、その姿はどこを見ても優雅でやわらか。作者は分かっていませんが、見る人を魅了する美しさが宿っています。

この観音さまは、1230年に湛海律師が中国・南宋から請来したと伝わっています。衣のひだの表現(衣文)には唐時代の雰囲気が色濃く残り、異国的でありながら不思議と心が落ち着く、やさしい表情を見せてくれます。

その美しさから「美人祈願」「良縁祈願」「安産祈願」の仏さまとして、女性の信仰を集めてきました。長く秘仏として大切に守られてきましたが、現在は一般に拝観することができます。


造形に宿るやわらかな慈しみ

楊貴妃観音像の衣文は、肌にすっと寄り添うようなやわらかさがあり、唐時代の美意識をよく伝えています。曲線が美しく、観音さまの穏やかな慈悲がそのまま形になったようです。

ふくよかで安定した体つきは、天平・唐風の仏像の特徴が感じられ、泉涌寺の静かな空気と重なりあって、時代を超えた気品をまとっています。


【筆者感想】実際に拝観してみると、想像していたよりも少し小ぶりで、色彩はやさしく華やか。表情はとても柔らかで、そっと寄り添ってくれるような雰囲気がありました。“楊貴妃の面影をうつした”と伝わるのも納得の美しさでした🙏✨


祈りの時間は「心の美しさ」を育ててくれる

「祈願すると身も心も美しくなれる」と伝わる観音さまですが、それは外見の美しさだけではなく、“自分を大切にする気持ち”を育ててくれるという意味なのだと感じました。

観音さまの前に座ると、自然と呼吸が深まり、心がふわっと軽くなるような――そんな優しい時間が流れます。あなた自身のペースで、静かに祈りを届けたくなる、そんな仏さまです。

三尊仏(釈迦・阿弥陀・弥勒)|三つの穏やかさが並ぶ空間

泉涌寺で忘れてはいけない見どころが、仏殿の中央に安置されている「三尊仏」です。
中央に釈迦如来、左に阿弥陀如来、右に弥勒如来が並び、**過去・現在・未来を象徴する“三世仏”**として祀られています。

  • 重要文化財
  • 本尊
  • 針葉樹材の寄木造
  • 衣部は黒漆に金箔、肉身部は弁柄漆塗りと金泥仕上げ
  • それぞれ約100cm前後の等身大サイズ
  • 作者:運慶

三尊の意味

  • 阿弥陀如来(左):過去をつかさどる仏さま。極楽浄土の教主として知られる存在。
  • 釈迦如来(中央):私たちの“今”を導く現在の仏さま。お釈迦さまそのもの。
  • 弥勒如来(右):未来に現れるとされる仏さま。56億7千万年後に衆生を救うと伝えられています。

運慶作と伝わる“品格ある三尊”

この三尊仏は名仏師の運慶(うんけい)の作と伝わり、寄木造で丁寧に仕上げられた等身大の坐像です。
針葉樹材を素材とし、衣の部分は黒漆に金箔、からだの部分は弁柄漆や金泥で仕上げられています。

落ち着いた輝きを放つ金箔、温かみのある朱色の肌、そしてやわらかく整った輪郭――どれをとっても均整のとれた美しさがあります。

須弥壇の上には光背や天蓋が荘厳に飾られ、仏殿全体を“静かな聖域”へと変えていました。
しばらく見つめていると、三尊のまわりだけ空気が澄んでいるように感じられます。

三世が揃う希少な空間

三世仏が三尊そろって祀られている寺院は、日本でもそれほど多くありません。
泉涌寺ならではの尊い空間であり、訪れる人の心を静かに整えてくれる存在でもあります。

それぞれ約100cm前後の等身大で、私たちと同じ目線で坐しておられるような親しみを感じられるところも魅力です。

体験談とまとめ|泉涌寺で出会う、美しさと静けさに寄り添う時間

泉涌寺を訪れた日は、人が少なく、境内にはやわらかな静けさが広がっていました。
まず楊貴妃観音像の前に立った瞬間、その美しさと優しい表情に心がふっと緩み、「来てよかった」と思える安心感に包まれました。

しかし、予想以上に心に残ったのは、仏殿に静かに坐す三尊仏との出会いでした。
釈迦・阿弥陀・弥勒の三尊が並ぶ空間には、過去・現在・未来がひとつに溶け合うような穏やかさがあります。
その前に座っていると、時間がゆっくりほどけていくようで、自然と呼吸が深くなるのを感じました。

泉涌寺は、華やかな観光地とは少し違い、自分のペースで仏像と向き合える貴重な場所です。
楊貴妃観音像の美しさ、三尊仏の静かな存在感、そして広々とした境内や庭園の落ち着いた空気――すべてが調和して、心を静かに整えてくれます。

「心を整えたい」「自分を大切にしたい」
そんな気持ちをそっと受け止めてくれる、やさしいお寺。

女性のひとり旅にもぴったりで、思わぬ気づきや心の変化に出会える場所だと感じました。
また会いに行きたいと思える、穏やかな余韻が残る旅になりました。

広くて美しい境内をゆっくり歩く時間も、また格別でした。


泉涌寺(せんにゅうじ)|基本情報とアクセス

寺号の由来にもなった清泉が今も湧き出ており、格式と静けさを兼ね備えた特別な空間です。

  • 京都市東山区泉涌寺山内町27
  • 総本山 御寺 泉涌寺
    ▶︎詳しい情報や、拝観時間・最新情報は、泉涌寺の公式サイトでご確認ください。

🚌 アクセス情報(公共交通)

  • JR「東福寺駅」から徒歩20分
  • JR「京都駅」から市バス202または208系統で「泉涌寺道」下車、徒歩約15分

京都駅の八条口(京都タワーの反対側)からバスに乗り約30分、さらに徒歩で約15分。
バス内は混雑していましたが、泉涌寺は観光客が少なく、京都駅から近いとは思えない静けさで
まさに「穴場」といった雰囲気でした。

Screenshot

⛩️ 周辺のおすすめ寺社仏閣|東福寺

泉涌寺から徒歩圏内:紅葉の名所「東福寺」の参拝もオススメです。

京都の旅で心に残る仏像との出会いを

京都は、四季折々に表情を変える街並みと、歴史ある寺院や仏像が息づく場所です。春の桜、夏の青もみじ、秋の彩り、冬の静けさ──どの季節にも、それぞれの魅力があります。寺社を訪れるたびに、時の流れとともに変わる景色と、変わらない祈りの姿に心が整うことでしょう。

普段は非公開の仏像や特別拝観の機会も多く、歴史や信仰に触れながら深く心に残る時間を過ごせます。訪れる際は、拝観料や公開期間を事前に確認し、公共交通機関を利用することでスムーズにアクセスできます。人が少ない時間帯を選べば、より静かに仏像と向き合うことができるでしょう。

どの季節も、それぞれの光と空気の中で仏像と出会える京都。日常から少し離れて、心を整える旅に出かけてみてはいかがでしょうか。

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※本記事内の写真は筆者が撮影したものです

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