はじめに|静かに訪れたい、戒壇堂という場所

東大寺から歩いて10分ほど。(自撮り写真ですみません💦)
賑やかな大仏殿エリアから少し離れて、小高い場所に佇む 戒壇院 戒壇堂(かいだんいん かいだんどう)。
親子連れとすれ違う階段を登ると、「仏像の迫力」と「静かな空間」が迎えてくれます。仏像好き、歴史好き、そしてひとり旅を楽しみたい人におすすめの場所です。
東大寺・戒壇堂とは?

東大寺の境内にひっそりと建つ「戒壇堂(かいだんどう)」は、奈良時代に僧侶が正式に戒律を受けるために造られた由緒あるお堂です。ここには、仏教の守護神である【国宝】四天王像が安置されており、力強い存在感を放っています。
観光客でにぎわう大仏殿や二月堂に比べると、戒壇堂は落ち着いた空気に包まれており、静かに仏像と向き合うことができる特別な場所です。
御仏像の見どころ
戒壇堂の【国宝】四天王像
四天王とは、東西南北の四方を守護する天部の仏像です。それぞれ甲冑をまとい、邪悪なものを踏みつける姿で表現されており、仏教世界を守護する役割を担っています。
- 持国天(じこくてん):東を守護し、剣を手に悪を祓う姿。
- 増長天(ぞうちょうてん):南を守護し、槍を構える力強い姿。
- 広目天(こうもくてん):西を守護し、巻物や筆を持ち、智慧を象徴。
- 多聞天(たもんてん/毘沙門天):北を守護し、宝塔を持つ財宝と福徳の神。
戒壇堂の四天王像は、奈良時代に造られた現存最古級の塑像(そぞう・土で作られた仏像)とされ、国宝に指定されています。その迫力と歴史的価値は、まさに必見です。
- 中央の「多宝塔」を守護するように四隅に立っています。
- 持国天(東)、増長天(南)、広目天(西)、多聞天(北)の4体で、それぞれが東西南北の四方を守護する護法神です。
- 持国天と増長天は前方に立ち、目を見開いて睨みをきかせ、広目天と多聞天は後方に立ち、目を細めて遠くを見つめるような表情をしています。
- すべて奈良時代の作で、非常に写実的かつ力強い造形美が特徴です。
- 像高は160〜170cmほどで、実際の人間に近いサイズ感です。
- 四天王像の足元には邪鬼が踏みつけられており、その表情や造形も見どころの一つです。
「国宝」とは…「世界文化の見地から価値が極めて高く、たぐいない国民の宝とされるもの」
「国の宝」ではなく「国民=私たちの宝」と知り、ますます興味が沸きました。
【重要文化財】多宝塔
- 内部に祀られているのは、像高約25cmほどの釈迦如来坐像と多宝如来坐像(金銅製)。
- 扉は開いており、その造形の繊細さや輝きが間近で感じられます。
- 多宝塔の存在は、法華経に基づいた仏教思想とも深く結びついています。(法華経の世界観を体現)
- これらは鑑真が唐からもたらした仏像と伝えられています。
- 多宝塔の扉は開かれており、内部の多宝如来坐像と釈迦如来坐像も拝観可能です。
戒壇堂で感じる静けさ
堂内に入ると、薄暗い空間の中で四天王像が静かに佇み、訪れる人を圧倒します。観光スポットとしての華やかさはありませんが、心を整えたいときや静かに仏像と向き合いたい人におすすめの場所です。
四天王像の力強さと、それを包み込む堂内の静けさ。その対比が、訪れる人の心に深く残ります。
堂内の拝観方法
- 土足厳禁で靴を袋に入れて拝観。
- 三重の壇で構成され、最上段の中央に多宝塔、四隅に四天王像。
- 拝観者は1段目を右回りに巡り、間近に仏像を鑑賞できます。
戒壇院 戒壇堂 基本情報
- 戒壇院は、鑑真(がんじん)が日本に来て設けられた 授戒(僧侶が戒律を授かる儀式) の正式な施設です。これは日本仏教史上非常に重要な意義を持っています。
- 建物は現在、江戸時代の享保17年(1732年)に再建されたもの。歴史の重みを感じながら仏像を拝観できます。
- 所在地:奈良県奈良市雑司町406-1
- 公式サイト:東大寺 戒壇堂 公式サイト
- アクセス:JR奈良駅・近鉄奈良駅から奈良交通バス「大仏殿春日大社前」下車、徒歩約10分
- 拝観時間:8:30~16:30
- 拝観料:500円
🚌 アクセス方法

- 近鉄奈良駅・JR奈良駅から奈良交通バス「市内循環線」乗車
- 「大仏殿春日大社前」バス停下車 → 徒歩約10〜15分
- 近鉄奈良駅から徒歩約15〜20分
まとめ|ここで過ごす静かな時間の価値

印象に残ったところ
私が特に心動かされたのは、四天王像の表情とその人間味あふれる造形。眉間のしわ、身体のひねり、目線――すべてが息づいているようで、まるで顔が語りかけてくるような力を持っていました。
また、訪れた日には戸外の鹿が草原でゆったりしている風景もあり、仏像巡りだけでなく、奈良の自然とゆるやかに接する時間の豊かさも感じました。
ここで過ごす静かな時間の価値
戒壇堂は「人混み」とは無縁の静かな仏像スポット。
仏像そのものの表情や存在感をじっくり感じたい人にとって、ここは特別な場所になります。
もしあなたが奈良を訪れるなら、定番の場所だけでなく、戒壇堂のような“静かな息遣い”を感じられるスポットを散策ルートに加えてみてほしいです。心がゆるんで、仏像を通して自分自身と向き合う時間がきっと生まれるはずです。
奈良時代から受け継がれる仏像の迫力を肌で感じながら、心を落ち着ける時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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⛩️ 近くのおすすめ寺社仏閣
拝観後には近くの 東大寺大仏殿(奈良の大仏) や 正倉院(外観のみ参拝可能)、興福寺(阿修羅像) 、春日大社などの周辺寺社仏閣にも立ち寄るのがおすすめ。奈良の仏像巡りをさらに深くするプランになります。

おすすめお土産:「天平の瓦」

昔ながらの素朴な味わいで、鹿や仏像のプリント入り。 個包装なのも嬉しいポイント。
お値段もお手頃で、奈良を感じる美味しいお土産です。
筆者の地元、福岡でいうと、「にわかせんべい」に似ています😊 美味しいです。
※本記事内の写真はすべて筆者が撮影したものです。
おわりに|仏像を通して心にふれる時間を
仏像の世界は、本当に、奥深くて、美しくて、人の心に静かに響くものだと思います。
そこには、言葉にしきれない感動や、目の前の仏像から伝わってくる優しさ、強さ、そして静けさがあります。
それを理解できる人は少ないかもしれないけれど、私が発信し続けることで、「なんかいいかも」って思ってくれる人が、きっと少しずつ増えていくーーー
仏像の魅力を、もっともっと、世の中に伝えていけますように🙏✨
そんな思いを込めて、このブログを書いています😊
🇺🇸English Summary(英語要約)
This article introduces the Kaidan-in (Ordination Hall) of Todaiji in Nara, where the National Treasure statues of the Four Heavenly Kings are enshrined. Unlike the bustling Great Buddha Hall, the Kaidan-in offers a quiet, contemplative space. Visitors can admire the power and realism of these Nara-period sculptures while experiencing the temple’s deep historical significance.