奈良・薬師寺の
金堂に安置されている
【国宝】薬師三尊像(やくし さんぞんぞう)は、
白鳳時代を代表する仏像であり、
今なお多くの人の心を静かに癒し続けています。
中央に薬師如来、
その両脇に日光菩薩・月光菩薩が立つこの三尊像は、
「病を治す仏」として信仰されてきましたが、
実際に向き合うと、
単なるご利益仏ではない深い安心感を与えてくれます。
この記事では、
薬師三尊の見どころや鑑賞ポイントを、
仏像初心者の方にもわかりやすく解説しながら、
現地で感じた静かな感動についてもお伝えします。
奈良・薬師寺|薬師三尊像とは?
薬師寺の金堂に足を踏み入れた瞬間、
目の前に広がるのは光り輝くような薬師三尊像。
中央に座す薬師如来は、静かに右手を挙げ、左手に薬壺を抱き、
人々の苦しみを癒す存在として鎮座しています。
その姿に出会った時、不思議と胸の奥がやわらぎ、
「大丈夫」という安心感に包まれました。
薬師如来を本尊とし、
左右に日光菩薩と月光菩薩を従える三尊形式の仏像です。
本尊は白鳳時代を代表する金銅仏で国宝に指定されています。
白鳳時代は、飛鳥時代の後期〜奈良時代のはじめにかけての時代です。
このころの仏像は、写実と均整のバランスが美しく、
薬師寺の三尊像もその代表例とされています。

薬師三尊像の基本情報
- 安置場所:奈良・薬師寺 金堂
- 制作年代:天武天皇の発願により発願、698年に完成(白鳳時代)
- 重要文化財:国宝
- 構成:中央に薬師如来坐像、左右に日光・月光菩薩立像
- 像高:薬師如来坐像は254.7cm、
日光菩薩像は317.3cm、
月光菩薩像は315.3cmにも達し、堂々たるスケールです。 - 三尊ともに銅造
※白鳳時代は、飛鳥時代の後期〜奈良時代のはじめにかけての時代です。
造形と表情の美しさ
造形
・三尊は中央の薬師如来坐像と脇侍の日光菩薩・月光菩薩立像から成り、
三体すべてが国宝に指定されています。
・薬師如来像は、中国初唐の様式を受け継ぎつつ、
日本独自の洗練された美しさとバランスの取れたプロポーションを持ちます。
体躯は均整が取れ、衣文は流れるように滑らかです。
・中尊(薬師如来)は独特の四角い宣字形台座にゆったりと坐し、
その台座や仏像自体にはギリシャ、ペルシャ、中国など
諸外国の文様―葡萄唐草文様、
四方の四神(青龍・朱雀・白虎・玄武)など
―が描かれる東西の文様が融合したユニークな意匠となっています。
・手には水掻きのような曼網相(まんもんそう)、
法輪の模様の千輻輪文(せんぷくりんもん)が、
胸の中央には卍文様、足には千輻輪文や双魚文などの文様が線刻されています。
これは仏の証を示す模様で、実際に仏像に刻まれているのは非常に珍しいものです。
・光背は後補で、像そのものは白鳳(飛鳥~奈良初期)時代の最高傑作とされています。
・体のプロポーションや衣の柔らかな質感など、
唐時代の影響を受けつつ日本独自の彫刻美を確立した作品です。
・造立当初は、 鍍金が施され金色(こんじき)に輝いていましたが、
現在は一部をのぞいて漆黒の姿になっておられます。
・両脇侍はわずかに腰を曲げ、自然な立ち姿で、本尊との調和を見せています。

表情
・薬師如来像は、静かで落ち着いた慈悲の表情を湛えており、
見る者に安心感と癒やしを与えます。
・目は半眼で、口元にはわずかな微笑を浮かべており、
心の安定と深い慈愛を感じさせる理想的な仏の姿です。
・両脇侍の表情も上品で穏やか、柔らかな視線を持ち、
優美な雰囲気が三尊全体に漂います。
このように、造形は国際色を持ちながらも日本独自の美を凝縮し、
表情は穏やかで慈愛に満ちている点が大きな特徴です。

ご利益|病気平癒と心身の癒し
薬師如来は「医薬の仏」とされ、
古来より病気平癒・無病息災のご利益で知られています。
また、参拝することで心身の不調が和らぎ、
癒しを得られると信じられています。
現代においても「心の癒し」「健康長寿」を願う参拝者が絶えず、
祈りの対象として人々に寄り添い続けています。
薬師三尊像の前に立つと、自分の弱さや悩みが静かに包まれ、
前を向く力をいただけると感じる人も多いのでしょう。
筆者も将来について悩んでいた時期に初めて訪れました。
きっと導かれたのだと思います🙏✨
薬師三尊像をより深く味わうためには、
仏像の種類をあらかじめ知っておくと、見え方が大きく変わります。
▶ 【初心者向け】如来・菩薩・明王・天部|見分け方・特徴・意味を解説

白鳳時代は、
飛鳥時代の後期〜奈良時代初期にかけて 仏像表現が大きく進化した時期です。
薬師三尊像は、
その高度な均整美と、人の心に寄り添う優しい表現から、
当時の仏教彫刻の到達点のひとつと評価されています。
やがて仏像の造形は、より写実的で力強い表現へと変わっていきます。
薬師三尊像のような静かな美しさの仏像から、
写実的な造形へと仏像表現が進化したのが
鎌倉時代の仏師・運慶(うんけい)です。
▶ 仏師・運慶とは?代表作と仏像の魅力をやさしく解説
また仏像の中でも、今なお多くの人の心を惹きつける一尊が
奈良・興福寺の阿修羅(あしゅら)像です。
▶ 阿修羅像の表情・造形・魅力を初心者にもわかりやすく解説した記事はこちら
薬師寺で会える御仏像
金堂の主な仏像
- 薬師三尊像(国宝)
- 中央:薬師如来坐像(像高254.7cm)
- 向かって右:日光菩薩立像(像高317.3cm)
- 向かって左:月光菩薩立像(像高315.3cm)
- いずれも白鳳時代の銅造で、優美な姿と黒光りする表面が特徴です。
東院堂の仏像
- 聖観音立像(国宝)
- 端正な立ち姿が美しい仏像で、平安時代を代表する観音像の一つ。
大講堂の仏像
- 弥勒三尊像(重要文化財)
- 中央:弥勒如来像
- 脇侍:法苑林菩薩像、大妙相菩薩像
- 奈良時代の作で、法相宗の教えに基づいています。


薬師三尊の前に立っていると、不思議と気持ちが静まり、
「守られている」という感覚が自然と湧いてきます。
強く訴えかけてくる仏像ではありませんが、
そっと寄り添うような優しさがあり、
それが薬師如来の本来の役割なのだと感じました。
慌ただしい日常から少し離れ、
心を整えたいときに、また会いに行きたくなる一尊です。
薬師寺の薬師三尊像に会いに行く前に
▶︎薬師寺への詳しいアクセス方法はこちら
まとめ|薬師三尊像が伝えるもの
薬師三尊像の前に立つと、
ただ祈るだけで心が整っていく不思議な感覚があります。
その穏やかな存在は、
いつの時代も私たちの心に寄り添ってくれる仏さまだと思います。
薬師寺の薬師三尊像は、単なる美術品ではなく、
人々の願いと祈りを受け止め続けてきた「生きた仏像」です。
白鳳文化の結晶であるその造形は、
歴史的価値と精神的な癒しの両面を兼ね備えています。
訪れた際にはぜひ、正面から薬師如来のまなざしを見つめ、
両脇の日光・月光菩薩との調和に心を澄ませてみてください。
きっと「心が整うひととき」を体験できるはずです。
奈良・薬師寺をゆっくり回りたい日や、
朝夕の静かな空気を味わう旅をしたい方には、
一泊して周辺を散策するのもおすすめです。
奈良市内での宿泊を検討する場合は、
こちらも参考にしてみてください。
→ 奈良エリア先を探す(楽天トラベル)
奈良・薬師寺|拝観情報
- 所在地:奈良県奈良市西ノ京町457
- 拝観場所:薬師寺 金堂
- 拝観時間:9:00〜17:00(受付は16:30まで)
- 拝観料金:1,000円(大人)/ 600円(中高生)
最新情報は公式HPをご確認ください ▶︎奈良・薬師寺公式HP
唐招提寺にも立ち寄ってみよう|徒歩15分で行ける
薬師寺を拝観したあと、時間に余裕があれば、
ぜひ徒歩で行ける
唐招提寺(とうしょうだいじ)にも足を延ばしてみてください。
両寺は徒歩約15分の距離にあり、
同じ西ノ京エリアで効率よく巡れるのが魅力です。
筆者の好きな寺院のひとつです。


唐招提寺まで行く細い小道には、飲食店も並んでいるので、
ランチ休憩するのもオススメです😊
(時間帯によっては混んでいますので注意が必要です。)

余談|奈良のお土産におすすめ「鹿サブレ」

仏像巡りのあとに立ち寄ったJR奈良駅のお土産店で見つけた「鹿サブレ」。
開けた瞬間の甘い香りと、 かわいい鹿の形と、
サクッと軽い食感、やさしい甘さが印象的でした。
コーヒーや日本茶との相性も抜群で、
ちょっとした手土産や自分へのご褒美にぴったりです。
「鹿サブレ」。見た目も味も奈良らしさ満点。
味もお土産のお菓子のクオリティを超えていると思います。
私の定番お土産です😊
どこで買える?
- 購入場所:JR奈良駅 構内・駅ナカのお土産店 、地元のスーパー
- ポイント:個包装・電車に乗る直前でも買いやすく、まとめ買いにも便利
おすすめポイント
- サクサク食感とやさしい甘さで万人受け
- 鹿モチーフのかわいい形で見栄え◎
- 個包装タイプなら配りやすく、旅のおすそ分けにも
※取扱い商品や在庫は時期・店舗により異なる場合があります。
最新情報は現地店舗でご確認ください。
おわりに|仏像を通して心にふれる時間を
仏像の世界は、本当に、奥深くて、美しくて、
人の心に静かに響くものだと思います。
そこには、言葉にしきれない感動や、
目の前の仏像から伝わってくる優しさ、強さ、そして静けさがあります。
それを理解できる人は少ないかもしれないけれど、
私が発信し続けることで、
「なんかいいかも」って思ってくれる人が、きっと少しずつ増えていくーーー
仏像の魅力を、もっともっと、世の中に伝えていけますように🙏✨
そんな思いを込めて、このブログを書いています😊
🇺🇸 English Summary(英語要約)
The article introduces the Yakushi Triad (Yakushi Nyorai flanked by Nikko and Gakko Bosatsu) enshrined in Yakushiji Temple, Nara. Known as the “Medicine Buddha,” Yakushi Nyorai symbolizes healing for both body and mind. The statues, with their serene expressions and graceful forms, embody compassion and spiritual power.
The piece highlights the artistic details of the Yakushi Triad, its historical significance in Japanese Buddhism, and its role as a source of comfort and hope for visitors. By appreciating the refined expressions, balanced proportions, and symbolic gestures of the statues, readers are invited to experience the calming, restorative presence that has touched people for centuries.
Ultimately, the article encourages travelers to visit Yakushiji to encounter the healing light of the Buddha and find peace in both heart and body.
※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

