奈良市にある不退寺(ふたいじ)は、平安時代を代表する歌人・在原業平ゆかりの寺院として知られています。ここで静かに祀られているのが、本尊の聖観音菩薩立像(通称:業平観音)。かつて秘仏とされ、長い間ごく限られた人にしか拝観できなかった特別な観音さまです。
この記事では、不退寺の歴史から業平観音の特徴、鑑賞ポイント、参拝時に知っておきたいことまで、初めて訪れる方にも分かりやすくまとめました。
旅行を計画中の方は、あわせて宿泊先も早めにチェックしておくと安心です。
不退寺へはJR奈良駅からアクセスもしやすく、観光にも便利です。
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不退寺とは|在原業平ゆかりの寺院

不退寺は平安初期に創建されたと伝わる古刹で、在原業平(ありわらのなりひら)が、晩年をこの寺で過ごしたと伝えられています。寺名の「不退」には、仏道から退かないという意味が込められ、業平自身の生涯や精神性とも重なります。
境内は広すぎず、静かで落ち着いた雰囲気。季節ごとに表情を変える庭や、業平の歌碑などもあり、散策するだけでも時間がゆっくりと流れるような心地よさがあります。
在原業平とは…『伊勢物語』の主人公としても有名な平安時代の歌人です。
ご本尊・聖観音菩薩立像(業平観音)とは

- かつて秘仏、現在は常時拝観可
- 在原業平作と伝わる美しい彩色像(リボン状宝冠と耳飾りが特徴)
- 奈良国立博物館所蔵像と酷似、かつては三尊像の両脇侍であった可能性が高いとされている
不退寺の本尊である聖観音菩薩立像(しょうかんのんぼさつりゅうぞう)は、別名「業平観音」と呼ばれています。これは、在原業平が理想とした女性を観音像として刻んだという伝説に由来します。
かつては僧侶だけが対面できる秘仏であり、一般の参拝者が拝める機会は極めて限られていたそうです。現在は本堂に安置され、静かに迎えてくださいます。
業平観音の造形美と見どころ
業平観音は、優雅で気品のある姿が特徴です。繊細に彫り込まれた衣文、しなやかな体のライン、柔らかな表情──すべてが「平安の美」をそのまま映し出しているかのようです。
- 宝冠や装飾の細やかさ:優美なデザインが菩薩としての気高さを示す
- 柔和な面貌:業平の詩情を思わせる静かな微笑み
- 流れるような衣文:木目の自然さを生かしつつ丁寧に施された彫刻
光が差し込む角度によって表情がわずかに変わるため、しばらく座って見つめていたくなる不思議な引力があります。
信仰と象徴性|業平の“美と祈り”が宿る観音さま
業平観音の魅力のひとつは、単なる仏像という存在を超えて、文学と信仰が交差する象徴だという点です。
在原業平は六歌仙として名高く、美男の歌人として多くの恋の逸話を残しています。そんな彼が描いた「理想の女性」が観音像となり、慈悲の象徴と詩人の美意識がひとつに溶け合っています。
その背景を知ってから対面すると、観音さまの優雅さがより深く心に染み入ります。
不退寺で拝観できる御仏像
- 聖観音菩薩立像(業平観音):ご本尊
- 五大明王像
- 安保(あぼ)親王坐像
- 地蔵菩薩立像
不退寺参拝のポイント
- 拝観時間:季節により変動するため事前チェック推奨
- ゆっくり過ごす:庭や歌碑も含め、境内全体で静寂を味わうのがおすすめ
- 季節の花:椿・カキツバタ・桔梗など、季節ごとに美しい表情を見せる
訪れて感じたこと|静けさの中で出会う“美しい時間”

聖観音像の鮮やかな彩色と優美な表情かつ女性的な姿。
奈良国立博物館所蔵の観音菩薩立像と酷似していることから、もとは三尊像の両脇侍であったのではないか、という話に歴史のロマンを感じました🙏
ただの観光ではなく、「心が整う旅」を求める方に、不退寺はとてもおすすめです。
寺院内は植物園なの??と思うほど緑豊かで、昔ながらの懐かしさを感じる本堂でした🙏✨
また、受付の縁側に、ねこちゃんがいました🐈日差しが眩しいのか、目をギューっとつぶっている姿が可愛かったです。近づいても全然動じなかったです。参拝客に慣れているのでしょうね。
まとめ|業平観音に会いに、不退寺へ
不退寺は、在原業平ゆかりの歴史と、聖観音菩薩立像(業平観音)がもたらす静かな祈りの場が魅力の寺院です。仏像の美しさ、文化、文学が一体となった特別なひとときを過ごせます。
奈良で心が整う仏像旅をしたい方に、ぜひ訪れてほしい一寺です。

不退寺(ふたいじ) 基本情報
- 住所:〒630-8113 奈良県奈良市法蓮町517
- 参拝時間:9:00~17:00
- 参拝料:500円(2025年6月時点)
- 正式名:金龍山 不退転法輪寺
- 別名:業平寺(なりひらでら)
🚌 アクセス方法(JR奈良駅から)

- バス:JR奈良駅(西側)→市内循環バス「一条高校前(不退寺口)」下車→徒歩約5分
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番外編|お気に入りの奈良漬け
おばあちゃん家でよく食べていた「奈良漬け」は懐かしく、そして身近なお漬物。
↓その中でもお気に入り↓

- カップ入り、すでに刻まれている。
- お酒(吟醸酒粕)が効いた濃厚な味わいがクセになります。
※本記事内の写真はすべて筆者が撮影したものです。
🇺🇸 English Summary(英語要約)
Nara’s Futai-ji Temple is closely connected to the Heian poet Ariwara no Narihira. Its principal image, the Standing Sho Kannon (known as the “Narihira Kannon”), is a graceful statue once treated as a hidden Buddha.
The statue’s soft expression, elegant drapery, and poetic presence reflect both Buddhist compassion and Narihira’s refined aesthetics.
Visiting Futai-ji offers a quiet, reflective experience—perfect for travelers seeking beauty, history, and a peaceful temple atmosphere in Nara.

