【清水寺の特別拝観】十一面千手観音と二十八部衆に出会う感動体験

寺院ガイド(所蔵寺院)

清水寺の仏像をやさしく解説|特別拝観

観光名所として名高い清水寺。今回は「清水の舞台」だけで終わらせない、仏像に焦点をあてた拝観ガイドです。特別拝観日に秘仏群を間近で拝観して堂内で感じたことを初心者さん向けにわかりやすくまとめました。

年に数回行われる特別拝観の際は、非公開の本堂の内々陣に入れ、十一面千手観音菩薩立像の御前立像や二十八部衆、将軍地蔵、毘沙門天など秘仏群を間近で拝観できますが、ご本尊である十一面千手観音菩薩立像の厨子の扉は開かれません。

ご本尊ご開帳と特別拝観に参拝できる御仏像の違い

項目ご本尊ご開帳特別拝観
拝観可能な仏像ご本尊十一面千手観音立像本体(厨子の扉が開かれる)御前立像、二十八部衆、将軍地蔵、毘沙門天など秘仏群(厨子は閉じたまま)
開催頻度33年に一度年に数回(春・夏・秋の夜間特別拝観など)
拝観場所本堂内々陣中央厨子内本堂内々陣および周辺

このため、清水寺の特別拝観は非常に貴重ですが、ご本尊自体を拝観できるのは33年に一度のご開帳時のみという違いがあります。

はじめに|世界遺産・清水寺は「仏像の寺」でもある

「清水の舞台」「三年坂・二年坂」などの景観が有名な清水寺ですが、実は仏像の魅力がぎっしりつまったお寺です。今回、特別拝観に合わせて参拝し、非公開の本堂の内々陣に入り諸像を間近でお参りしました。観光メインで訪れる方にも、仏像の視点を加えることで、より深い清水寺体験になるはずです。

清水寺で参拝できる御仏像

  • 十一面千手観音菩薩立像
    清水寺のご本尊で、33年に一度しか直接開帳されません(通常は前立仏を拝観)。
  • 将軍地蔵尊・毘沙門天
    本堂の内々陣、両脇に安置。将軍地蔵尊は武運長久、毘沙門天は勝利・厄除けを司ります。
  • 二十八部衆
    観音信仰を守護する仏像群。堂内で公開されている期間があり、武将・天女・神将など多様な姿。
  • 御正体(懸仏)
    本堂外陣正面に掲げられた円形銅板レリーフ。本尊・将軍地蔵・毘沙門天の姿が表現され、誰でも拝することができる。
  • 成就院や奥の院には地蔵菩薩、阿弥陀如来、釈迦如来なども安置されています。

清水寺は「千手観音」「地蔵菩薩」「毘沙門天」、そして「二十八部衆」など、複数の重要な仏像を拝むことができる貴重な寺院です。

1.ご本尊・十一面千手観音立像(秘仏)|御前立を超えて出会った「やさしさの中心」

清水寺のご本尊は十一面千手観音立像。通常は秘仏のため、堂内では御前立像(本尊の前に安置される拝観用の像)を拝します。私は年に数回ある特別拝観日に合わせて参拝し、十一面千手観音立像の御前立像を間近で拝見しました。

ご本尊・十一面千手観音立像(秘仏)

ご本尊として本堂内々陣の中央の厨子に安置されている秘仏で、普段は厨子の扉が閉ざされておりており、直接拝観できるのは33年に一度のご開帳時のみです。

歴史と特徴

  • 創建当初の本尊は災火で失われ、現在の像は鎌倉時代(1220年頃)に再造されたとされます。
  • 像高約173cm、ヒノキの寄木造りで漆や彩色は施されておらず、白毫には水晶がはめ込まれています。
  • 本尊は「清水型」と呼ばれる独特の姿で、十一の顔と42本の手を持ち、最上の左右二臂は高く掲げて化仏を捧げ持つ特徴的な形状です。
  • 十一面(顔)の表情は慈悲、笑顔、怒りなど多様で、観音菩薩の慈愛や救済の強さを象徴しています。

信仰と意義

  • 十一面千手観音は『法華経普門品(観音経)』や『千手陀羅尼経』に説かれる観音信仰の中心的尊像であり、多くの人々から深く信仰されています。
  • 清水寺の本尊ご開帳は33年に一度、その理由は観音経に記された観音菩薩の三十三身の教えによるもので、次回は2033年の予定です

その他

  • 仏像の代わりに外陣に設置された大きな銅板の御正体(懸仏)で本尊の姿を知ることができ、多くの参拝者がこの御正体の前で手を合わせています。

この十一面千手観音菩薩立像は、清水寺の信仰の根幹をなす重要な秘仏であり、多彩な腕と顔で衆生を救う慈悲深い観音像です。

実見の所感|光の層に守られる穏やかなまなざし

本堂の内々陣に入ることができるものの、本尊の厨子は閉じられたままで、本尊の代わりに「御前立像」という代わりの仏像を拝観しました。

正面に立つとまず感じるのは、量感よりも「気配のやわらかさ」。女性的なやわらかさ、やさしさを感じました。十一の面が示す多角的な慈悲、千の手(実際は象徴的に表されます)が表す尽きない救い。その造形が、堂内の薄明かりの中で静かに呼吸しているようでした。細部を凝視するよりも、像全体の「場」を受け取るのが清水寺の観音さまの鑑賞ポイントだと感じます。

初心者向けの見どころ

  • 十一面(顔):正面だけでなく側・後ろにもお顔があり、あらゆる方向から衆生を見守る象徴。
  • 千手(手):多くの手は「救いが届く先の多さ」を示すシンボル。持物(法具)も救済のバリエーションを物語る。
  • 御前立像:通常拝観時は御前立像を拝むが、その表情・印相(手の形)から本尊の慈悲をイメージできる。

2.二十八部衆と風神・雷神|観音信仰を支える「力の布陣」

清水寺の堂内では、二十八部衆が観音さまを護持する姿で安置されています。特別拝観で近くに立つと、個々の像が放つエネルギーの差や、衣文の流れ、筋肉表現の張りなど、護法像ならではの動勢が実感できます。風神・雷神とあわせて堂内の空気を張る「結界」のような存在です。

初心者向けの見どころ

  • ポーズとリズム:静(観音)と動(部衆)がつくるコントラストに注目。
  • 衣文の鋭さ:刻まれた襞が生む陰影は、光の当たり方で表情が変わる。
  • 守護の心理:怖さ=排除ではなく、「邪を寄せ付けない優しさの強度」と捉えると感じやすい。

3.鑑賞のコツ|写真より「場」を味わう・角度を変える

  • 堂内の空気を吸う:まず正面で合掌。次に半歩ずれて、光と陰の移ろいを体で受け取る。
  • 全体→部分→全体:最初にプロポーション、次に顔や手・衣文、最後に再び全体を眺めて印象を定着。
  • 撮影マナー:堂内は撮影禁止のエリアが多いです。掲示に従い、祈りの場への配慮を忘れずに。

御朱印|初心者でも安心の基本マナー

清水寺は御朱印も人気。はじめての方は次のポイントだけ押さえれば安心です。

  • まず参拝:御朱印は参拝の証。拝観→合掌の後にいただきましょう。
  • スタンプラリーではない:書写・押印は授与。感謝の気持ちを大切に。
  • 小銭の用意:待ち列があることも。スムーズなお支払いを。
  • 台紙の扱い:御朱印帳は上下を揃えてお渡し。受け取り時は両手で。

アクセス・拝観案内(初心者・女性ひとり旅にもやさしく)

最寄りルート(安心・わかりやすい)

  • バス:京都駅から市バスで「五条坂」または「清水道」下車、徒歩約10分(坂道あり・歩きやすい靴推奨)
  • タクシー:荷物が多い・坂が不安な場合は門前近くまで行けて安心
  • 徒歩:祇園・産寧坂方面からのアプローチも風情あり(観光混雑時間は早朝が快適)

拝観時間・拝観料(目安)

季節・行事により変更があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。

項目目安備考
拝観時間6:00〜18:00前後季節・特別夜間拝観で延長あり
拝観料大人:400円/小中学生:200円変更の場合あり
公式サイト清水寺 公式サイト

拝観メモ|特別拝観・混雑回避・服装

  • 特別拝観:本尊・諸像の公開情報は公式で随時告知。告知後は混雑しやすいので朝一番が快適。
  • 混雑回避:観光ピーク(10〜15時)を避け、開門直後または夕方に。
  • 服装:境内は坂と石段。歩きやすい靴+温度調整しやすい上着がおすすめ。
  • 写真:堂内は撮影禁止のエリア多数。掲示・寺院の指示に必ず従う。

まとめ|「舞台」だけじゃない、祈りの中心に触れる清水寺

京都の観光名所で有名な清水寺。筆者も何度も訪れましたが、今回初めて特別拝観でのお参りでした。2021年11月は、まだコロナ禍で観光客が少ない頃だったのにも関わらず、清水寺には沢山の参拝客がいて、行列に並んでの参拝でした。

特別拝観で間近で出会った十一面千手観音御前立像は、清水寺が古くから「清水の観音さん」と親しまれてきた理由を、言葉よりも先に教えてくれました。静かな堂内で、観音さまと護る部衆の気配に身を委ねる時間は、観光以上の豊かさをもたらしてくれました。次に清水寺を訪れるときは、ぜひ仏像にも注目してください🙏✨

※本記事の体験は執筆時点のものです。公開・拝観条件・動線・撮影可否・拝観料等は変更になる場合があります。ご参拝前に必ず公式情報をご確認ください。

おわりに|仏像を通して心にふれる時間を

仏像の世界は、本当に、奥深くて、美しくて、人の心に静かに響くものだと思います。

そこには、言葉にしきれない感動や、目の前の仏像から伝わってくる優しさ、強さ、そして静けさがあります。

それを理解できる人は少ないかもしれないけれど、私が発信し続けることで、「なんかいいかも」って思ってくれる人が、きっと少しずつ増えていくーーー

仏像の魅力を、もっともっと、世の中に伝えていけますように🙏✨

そんな思いを込めて、このブログを書いています😊

🇺🇸 English summary(英語要約)

“Special Viewing at Kiyomizudera: A Moving Encounter with the Eleven-Headed Thousand-Armed Kannon and the Twenty-Eight Attendants”


During a special viewing at Kiyomizudera Temple in Kyoto, visitors have the rare opportunity to see the temple’s principal image, the Eleven-Headed Thousand-Armed Kannon, along with the Twenty-Eight Attendant Deities. Normally hidden from public view, these sacred statues radiate a profound sense of compassion and spiritual presence.

The majestic Kannon, with multiple heads and countless arms symbolizing infinite wisdom and mercy, is surrounded by dynamic guardian figures that embody protection and support. Experiencing these statues up close allows one to feel both awe and comfort, deepening the connection to Buddhist teachings.

For beginners and seasoned temple-goers alike, this special viewing reveals Kiyomizudera not only as a famous sightseeing spot but also as a place of profound spiritual encounter.

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