奈良・唐招提寺で出会う仏像|初心者におすすめ3体をやさしく紹介

寺院ガイド(所蔵寺院)

はじめに|鑑真和上ゆかりの寺・唐招提寺は仏像もすごい!

奈良の唐招提寺(とうしょうだいじ)は、鑑真和上(がんじんわじょう)が開いた名刹として有名です。 実は「仏像の宝庫」でもあり、初心者さんでも分かりやすく楽しめる名作が揃っています。 今回は、初めて唐招提寺を訪れるなら絶対に押さえておきたい仏像3体をご紹介します。

仏像好きな筆者にとって、この「唐招提寺」は大好きな寺院の一つです🙏✨

1. 鑑真和上坐像|日本最古の肖像彫刻(国宝)

唐招提寺といえばやはり「鑑真和上坐像(がんじんわじょうざぞう)」。

私はまだ実際に拝観したことはないのですが、この像は奈良時代に作られた日本最古の肖像彫刻とされ、国宝にも指定されています。写実的な表現が特徴で、唐から日本へ渡るまでに失明された鑑真和上の人生が、そのまま姿に刻まれているといわれています。

次に訪れるときは、ぜひこの坐像と対面してみたいと強く思わせてくれる存在です。


奈良時代の天平彫刻の代表作の一つ

  • この像は脱活乾漆(だっかつかんしつ)という麻布と漆を使った技法で作られており、日本最古の肖像彫刻として国宝に指定されています。
  • 制作は鑑真の弟子である忍基(にんき)が指導したと伝えられ、鑑真の特徴がよく捉えられています。
  • 高さは約80cmで、鑑真和上の不屈の精神を感じさせる傑作とされています。
  • 現在は唐招提寺の御影堂に安置されており、毎年6月5日から7日の3日間のみ特別公開されています。

2. 盧舎那仏坐像(本尊)|奈良時代の正統派大仏(国宝)

金堂に安置される唐招提寺の本尊が「盧舎那仏坐像(るしゃなぶつざぞう)」。

本尊の国宝仏像で、奈良時代末期の8世紀後半に制作された脱活乾漆(だっかつかんしつ)技法による高さ約3メートルの坐像です。

この盧舎那仏坐像は、東大寺の奈良の大仏と同じく「盧舎那仏(るしゃなぶつ)」を表しており、密教では大日如来と同一視される宇宙の真理を象徴する仏さまで、蓮の花を模した蓮華座に座し、背後に千体の小さな仏像(化仏)がついた高さ5メートルを超える光背を背負っています。

金堂の中央に安置され、両脇に薬師如来立像と千手観音菩薩立像が配されているのが特徴で、本尊として唐招提寺の最大の見どころとなっています。

また、貴重な文化財として多くの参拝者に敬われ、堂内の扉は開放されており、拝観時間中は外から見ることが可能です。


東大寺の大仏と同じ盧舎那仏で、比較するとより魅力が分かります。 堂々とした姿は「奈良時代の正統派の大仏」といえる存在。 初心者が仏像の基礎を知るのにぴったりの仏像です。

▶︎東大寺の大仏「盧舎那仏坐像」について詳しく書いた記事はこちら

3. 千手観音立像|日本最多953本の手を持つ観音(国宝)

千手観音(せんじゅかんのん)といえば「たくさんの手」が特徴ですが、 唐招提寺の千手観音立像は実に953本もの手を持つ、日本最多の観音像。 その迫力に、思わず「すごい!」と声が出るかもしれません。 一体一体の手には、人々を救う象徴が込められており、解説も分かりやすい仏像です。


奈良時代の木心乾漆造・漆箔の仏像で、像高は約5.36メートルの巨像で国宝に指定されています。

この千手観音立像は本尊である盧舎那仏坐像の脇侍として安置されており、実際に千本の手を持つ非常に珍しい像容を持っています。現存している手は953本で、それぞれの手の掌には眼が描かれ、衆生を隈なく見渡して救いの手を差し伸べているとされます。

奈良時代末から平安時代初め頃の制作で、木彫の表面に木屎(こくそ)という木粉の練り物で塑形しているため、柔らかな質感が特徴的です。

唐招提寺金堂の本尊・盧舎那仏坐像の向かって左側に安置されており、その堂々たる佇まいと細かな手の造形は、訪れる人々に強い印象を与えています。


唐招提寺 基本情報

唐招提寺(とうしょうだいじ)は、奈良県奈良市にある南都六宗の一つ・律宗の総本山で、759年に唐(中国)から来日した高僧・鑑真和上(がんじんわじょう)によって創建された寺院です。

鑑真和上が日本に正式な戒律を伝えるために、数々の試練を乗り越えて来日し、その私寺として「唐律招提」として始まりました。

奈良時代(8世紀)の金堂や講堂を始め、国宝や重要文化財に指定されている仏像・建築が多数現存します。

1998年には「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録されました。

境内には四季折々の庭園や、天平文化を色濃く残す唐風建築が今も残り、歴史的な雰囲気に包まれています。

アクセス案内

唐招提寺へのアクセスは近鉄橿原線「西ノ京駅」から徒歩約10分です。
Googleマップで徒歩ルートを確認するには以下をクリックしてください。

▶ 唐招提寺までの徒歩ルート(Googleマップ)

拝観時間・拝観料(2025年8月時点)

項目内容
拝観時間8:30~17:00(受付は16:30まで)
拝観料大人:1,000円 / 中高生:400円 / 小学生:200円

▶︎最新情報は、公式HPをご確認ください。

訪れる際のポイント

  • 静かな境内は観光客も比較的落ち着いており、初心者でもゆっくり仏像鑑賞ができます。
  • 本堂の盧舎那仏は堂々としており、まずは正面から全体を眺めるのがおすすめです。
  • 鑑真和上像は、人物彫刻のリアルさを初めて体感できる貴重な仏像です。

まとめ|初心者はこの3体で唐招提寺を楽しむ

唐招提寺は「鑑真和上の寺」というだけでなく、仏像も非常に充実しています。 まずはこの3体を押さえるだけで、唐招提寺の魅力がぐっと身近に感じられるはずです。

  • 鑑真和上坐像
  • 盧舎那仏坐像
  • 千手観音立像

実は、私自身まだ「鑑真和上坐像」を実際に拝観できていません。 しかし調べれば調べるほど、日本最古の肖像彫刻としての歴史的な重みや、鑑真和上その人の人生を映した写実的な造形に強く惹かれています。 次に奈良を訪れる際には、必ず対面してみたい仏像のひとつです。

初心者が仏像鑑賞を始めるのにぴったりのお寺、それが唐招提寺。 堂々とした仏像に出会いながら、心静かに仏像の世界へと入っていけることでしょう。

薬師寺にも立ち寄ってみよう

唐招提寺を拝観したあと、時間に余裕があれば、ぜひ徒歩で行ける薬師寺にも足を延ばしてみてください。両寺は徒歩約15分の距離にあり、同じ西ノ京エリアで効率よく巡れるのが魅力です。

👉 奈良・薬師寺について詳しい記事はこちら


薬師寺まで行く細い小道には、飲食店も並んでいるので、ランチ休憩するのもオススメです😊(時間帯によっては混んでいますので注意が必要です。)

🇺🇸 English summary(英語要約)

At Toshodai-ji Temple in Nara, you can meet three remarkable Buddhist statues that are perfect for beginners to appreciate. Each statue carries unique beauty and spiritual meaning, offering a gentle introduction to the world of Buddhist art. Visiting this temple allows you to experience not only their artistic value but also a sense of peace and connection that has been cherished for centuries.

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