はじめに|京都宇治「萬福寺」で中国の禅文化と仏像に触れる

この「萬福寺(まんぷくじ)」を訪れたきっかけは、京都在住の方に「金運の神様だよ」とおすすめされたこと、そして京都駅からの公共交通機関の便が良かったからでした。
境内の建築や仏像には中国明朝様式が色濃く反映されており、日本の他の寺院とは異なる異国情緒を醸し出していました。
広い境内を歩くと、まるで中国の古寺にタイムスリップしたような気持ちになりました。
萬福寺の御仏像方
- 釈迦牟尼仏坐像(御本尊)(場所:大雄宝殿)
両脇に摩訶迦葉と阿難の二尊者像が安置。堂内には十八羅漢像も並ぶ - 十八羅漢像(場所:大雄宝殿)
表情豊かな十八体の羅漢像が本尊の両脇に並ぶ。※「羅怙羅尊者像」はお腹に釈迦の顔が覗くユニークな造形 - 弥勒菩薩坐像(布袋尊像)(場所:天王殿)
満面の笑みと太鼓腹、大きな袋を持つ姿で、いわゆる「布袋さん」として知られています。中国や台湾では布袋は弥勒菩薩の化身とされ、萬福寺でも「弥勒仏」として祀られている。日本の半跏思惟像とは異なり、福々しい姿が特徴です
四天王像や韋駄天像とともに安置されています。天王殿は萬福寺の玄関として一般公開されております - 韋駄天立像(場所:天王殿)
元朝の宮廷武官を思わせる姿で、明朝彫刻の特徴を色濃く残しています。天王殿の弥勒像の背面に安置され、伽藍守護神として祀られています - 四天王像(場所:天王殿)
弥勒菩薩像の左右に配置され、守護神としての役割を担う
萬福寺の御仏像は中国明朝様式の影響が色濃く、他の日本寺院では見られない独特の雰囲気を持っています。
※これらの仏像は通常拝観で堂内にて鑑賞可能です。
📍印象に残った御仏像
羅怙羅尊者(らごらそんじゃ)像
チケットの表紙にもなっていて、今回見たかった仏像です🙏✨

十八体の羅漢像の中の一体で、胸を開き、内側に釈迦の顔を見せる姿が一際目を引く存在でした。
仏教における重要な尊像の一つで、この像は、「釈迦(仏教の開祖)の実子であり弟子でもある羅怙羅(サンスクリット語でラーフラ)」を表しています。
像の最大の特徴は、羅怙羅が自分の胸(または腹)を両手で大きく開き、その中に釈迦の顔(仏の顔)を見せている点です。
この表現は、「人は誰しも心の中に仏性(仏になる可能性)を宿している」という仏教の教えを、極めて直接的かつ象徴的に示しています。
日本の仏像の中でも、このような大胆な表現は非常に珍しく、萬福寺の羅怙羅尊者像は特に異彩を放っています。
ー「大きな耳環をつけた羅漢さんが、自分のお腹を両手で大きく切り開いている。中にあるのは、何とお釈迦さんの顔。…どんな人間の心にも仏が宿っているという教えを伝えるためだ。」ー
このように、羅怙羅尊者像は仏教の核心的な教えを造形で表現した、極めて象徴的かつ稀有な仏像です。特に萬福寺の像は、その宗教的・美術的価値から高く評価されています。
この像を模した「顔出しパネル」もあり、ユニークな体験もできます(私はちょっと勇気が出ませんでした💦)
韋駄天立像(いだてんりゅうぞう)
- 韋駄天立像は江戸初期の中国仏師・笵道生の作(像高約120.6cm)
- 明朝風の宮廷武官スタイルで黄檗様式の代表例
- 俊足の守護神として四天王の増長天の部下とされる
- 萬福寺の守護神であり本尊前に祀られる、親しみを込めて「韋駄天さん」と呼ぶ
- 近年は国宝指定の特別展も開催され、話題となっている
前傾姿勢で、今にも動き出しそうな躍動感がありました。
弥勒菩薩(みろくぼさつ)坐像(布袋尊像)
たくさんの仏像を見てきましたが、こんなにもふくよかな体つきと、おおらかに笑っている仏像は見たことがありません。見ている私まで自然と笑顔になりました😊
萬福寺の基本情報

- 住所:公式HPはこちら
- 拝観時間:9:00~17:00(受付は16:30まで)
- 拝観料:500円(大人)
- 参拝ポイント:大雄宝殿ではQRコードからスマホ向けの音声ガイドにアクセス可能(イヤホン必須)
萬福寺とは

・日本仏教の中でも中国色の強い黄檗宗の大本山。建築・仏像・儀式・食文化まで、中国明朝様式を色濃く残しています。
・国宝や重要文化財、精進料理「普茶料理」、「座禅」や「写経」など、他の寺では味わえない体験ができる場所です。
・隠元禅師の御諱誡には「己躬下の事を究明するを務めとせよ」とあり、「まず自分自身の生き方を見つめることが大切」と説かれています。
ーーー今の私に響く言葉でした
(御諱誡とは・・・戒めや注意という意味合い)
(己躬下とは・・・自分自身のこと)
🚌 アクセス(京都駅から)
京都駅からJR奈良線に乗車し、「黄檗駅」で下車
駅から住宅地の中を上がっていくと徒歩約4〜5分ほどで萬福寺の総門に到着します。

※京阪宇治線「黄檗駅」からも同様にアクセス可能です。
まとめ

・中国伝来の「普茶料理」を食べるために訪れる団体客も多く、萬福寺は観光だけでなく食や禅体験も楽しめるお寺です。
・今回は予約していなかったため食べられませんでしたが、境内の売店で購入した胡麻豆腐はとても美味しかったです。
・作務衣姿の団体を見かけ調べたところ、「禅体験」中の方々とのこと。2025年6月現在は軽装での参加となっているようです。
・京都国立博物館「日本、美のるつぼ」展にも関係のある「萬福寺」。日本仏教と中国文化の深い関係を改めて感じる旅になりました。※「羅怙羅尊者像」・「韋駄天立像」が展示されていました。
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▶︎【京都国立博物館】日本、美のるつぼ|仏像・名品に出会う特別展
京都で美味しかったお土産
今回の旅で出会った、とっておきの京都土産をご紹介します↓✨
からふね屋珈琲店 監修「お濃い抹茶わらびもち パフェサンドクッキー」

私が無類の「チョコサンドクッキー」好きであること、そしてパッケージがとても可愛かったこともあり、迷わず購入!
わらび粉を配合したクッキー生地はほのかに黒蜜が香ります。そして、チョコがザクザク食感で、味も想像以上に美味しかったです😊
今ではすっかり京都のお土産として私の中で定番になっています。
販売場所が限られており、特定のお土産店でしか手に入らないという「レア感」も嬉しいポイント✨
※本記事内の写真はすべて筆者が撮影したものです
おわりに|仏像を通して心にふれる時間を
仏像の世界は、本当に、奥深くて、美しくて、人の心に静かに響くものだと思います。
そこには、言葉にしきれない感動や、目の前の仏像から伝わってくる優しさ、強さ、そして静けさがあります。
それを理解できる人は少ないかもしれないけれど、私が発信し続けることで、「なんかいいかも」って思ってくれる人が、きっと少しずつ増えていくーーー
仏像の魅力を、もっともっと、世の中に伝えていけますように🙏✨
そんな思いを込めて、このブログを書いています😊
🇺🇸 English Summary(英語要約)
Visit Manpuku-ji Temple in Uji, Kyoto: A Gateway to Chinese-Style Zen Culture
Manpuku-ji, the head temple of the Obaku school of Zen Buddhism, stands out for its strong Chinese Ming-style architecture, statues, rituals, and food. Located just a 5-minute walk from Obaku Station, the temple features unique Buddhist statues such as the smiling Maitreya (Hotei), the expressive Eighteen Arhats, and the captivating Rahula statue with a hidden Buddha face.
Visitors can also experience Zen meditation and traditional “fucha ryori” (vegetarian cuisine), though advance reservations are required.
The temple offers a truly immersive cultural experience that blends the spirit of Zen with the aesthetics of ancient Chinese tradition—unlike any other temple in Japan.