京都・奈良で会えるおすすめ八体仏|公共交通で行く心が整う仏像巡り

「八体仏(はったいぶつ)」とは、十二支の守り本尊として知られる八つの仏さまのこと。自分の干支を守護してくれる存在として古くから親しまれています。
この記事では、京都・奈良で実際に公共交通機関で行けるおすすめの八体仏を紹介します。各寺院のアクセス・拝観料情報をあわせて掲載し、初心者でも安心して巡れる仏像旅の参考にしていただけます。
※拝観時間・料金・特別公開情報は年ごとに変わります。出発前に必ず各寺院の公式サイトで最新情報をご確認ください。
八体仏とは?干支別の守り本尊
- 子(ね)年:千手観音 — Senju Kannon
- 丑・寅年:虚空蔵菩薩 — Kokūzō Bosatsu
- 卯年:文殊菩薩 — Monju Bosatsu
- 辰・巳年:普賢菩薩 — Fugen Bosatsu
- 午年:勢至菩薩 — Seishi Bosatsu
- 未・申年:大日如来 — Dainichi Nyorai
- 酉年:不動明王 — Fudō Myōō
- 戌・亥年:阿弥陀如来 — Amida Nyorai
① 子(ね)年:千手観音|すべてを包み込む慈悲の仏
千手観音(せんじゅかんのん)は、千の手と千の眼であらゆる人々を救うとされる観音菩薩の化身です。苦しみを見逃さず、手を差し伸べる慈悲の象徴として信仰されています。
▶ 奈良・唐招提寺|【国宝】千手観音立像

鑑真和上ゆかりの名刹。金堂には国宝・盧舎那仏坐像とともに、重要文化財・千手観音立像が安置されています。穏やかで力強い表情は奈良時代彫刻の典型。
▶︎唐招提寺の千手観音立像|日本最多953本の手を持つ観音(国宝)
奈良・唐招提寺の千手観音立像は、天平彫刻を代表する名品。木彫の穏やかな表情と圧倒的な存在感に心が鎮まります。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:8:30〜17:00(最終受付16:30)年中無休
- 拝観料:大人1,000円/高校・中学生400円/小学生200円
- アクセス:近鉄「西ノ京駅」より徒歩約10分、または奈良駅からバス約17分「唐招提寺」下車
- 公式サイト:唐招提寺公式サイト
▶ 京都・三十三間堂|本尊・千手観音坐像

本尊・千手観音坐像を中心に、千体の千手観音立像が並ぶ壮観な堂内。静寂の中で観音像の穏やかな微笑みに癒されます。
本尊の千手観音坐像と千体の観音立像が並ぶ圧巻の空間。スケール感と静寂さが同居する特別な場です。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:4月1日〜11月15日 8:30〜17:00 / 11月16日〜3月31日 9:00〜16:00(受付は各30分前まで)
- 拝観料:大人 600円(目安)
- アクセス:JR京都駅から徒歩約15分、市バス「博物館・三十三間堂前」下車すぐ、京阪「七条」駅から徒歩約5分
- 公式サイト:https://www.sanjusangendo.jp/
▶ 京都・清水寺|本尊・十一面千手観音立像(秘仏)(特別拝観)

特別公開時には、通常非公開の千手観音像を拝観できることも。清らかな眼差しに包まれる時間は、心がすっと整う瞬間です。
京都を代表する名所。特別公開期間や夜間ライトアップでは普段見られない堂内や仏像に出会えることがあります(千手観音等の特別拝観あり)。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間(目安):季節により変動(例:日中は概ね6:00〜18:00、夜間特別拝観時は〜21:30 等)。公式の「拝観時間」ページで当日情報を確認してください。
- 拝観料:大人(高校生以上)500円/小中学生200円(※胎内めぐり等一部体験は別料金)
- アクセス:JR「京都駅」から市バス100系統・206系統で「五条坂」または「清水道」下車、徒歩約10〜15分
- 公式サイト:https://www.kiyomizudera.or.jp/
② 丑・寅年:虚空蔵菩薩|知恵と記憶を司る学びの仏
虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)は「無限の知恵と慈悲」を象徴し、学業成就・記憶力向上を願う人々に信仰されています。
▶ 京都・東寺「観智院」|五大虚空蔵菩薩像

塔頭の観智院には「五大虚空蔵菩薩像」が安置されています。真言密教の知恵の象徴として、静寂に満ちた堂内で祈りを捧げられます。
知恵と記憶を司る虚空蔵菩薩。東寺の観智院では、弘法大師空海ゆかりの静かな空間で拝むことができます。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:9:00〜17:00(受付16:30まで)
- 拝観料:観智院600円、金堂・講堂共通800円(特別公開時は別料金)
- アクセス:近鉄「東寺駅」より徒歩約10分/JR「京都駅」八条口より徒歩約15分
- 公式サイト:東寺公式サイト
▶ 奈良・東大寺「大仏殿」|【国宝】虚空蔵菩薩坐像

大仏殿内には国宝の虚空蔵菩薩坐像が安置されています。天平仏らしい柔和な表情に、祈りの深さを感じます。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:大仏殿 4〜10月 7:30〜17:30 / 11〜3月 8:00〜17:00
- 拝観料:大仏殿等 800円/ミュージアム共通券 1,200円
- アクセス:奈良駅・近鉄奈良駅より市内バスまたは循環バスで「大仏殿春日大社前」下車徒歩5分
- 公式サイト:todaiji.or.jp
③ 卯年:文殊菩薩|知恵を授ける導きの仏
「三人寄れば文殊の知恵」で知られる文殊菩薩(もんじゅぼさつ)は、学業や進路の悩みを導く智慧の象徴です。
▶ 京都・南禅寺|獅子に騎る文殊菩薩

静かな方丈庭園で心を落ち着け、文殊菩薩の智慧に思いを馳せる時間を。紅葉の季節は特におすすめです。
智恵の象徴・文殊菩薩。南禅寺の方丈庭園とともに、静寂の中で智慧を授かる時間を過ごせます。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:8:40〜17:00(冬季〜16:30)
- 拝観料:三門・方丈 各600円(境内自由)
- アクセス:地下鉄「蹴上駅」より徒歩約10分、市バス「南禅寺・永観堂道」下車すぐ
- 公式サイト:南禅寺公式サイト
▶ 奈良・法華寺|文殊菩薩騎獅像

光明皇后ゆかりの寺。落ち着いた境内で文殊菩薩像を拝観できます。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:9:00〜16:30(受付終了16:00)
- 拝観料:大人700円/小中学生350円
庭園のみ 300円/特別公開日は増額 - アクセス:奈良駅・大和西大寺駅からバス「法華寺前」下車徒歩3分
- 公式サイト:hokkejimonzeki.or.jp
▶ 京都・清涼寺の霊宝館|文殊菩薩騎獅像(特別拝観)

嵯峨釈迦堂として知られる清涼寺では、文殊菩薩像の特別公開が行われることも。定朝様の優美な造形が見どころです。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:9:00〜16:00
- 拝観料:一般500円(霊宝館公開時は別途)
- アクセス:JR「嵯峨嵐山駅」より徒歩約15分/市バス「清凉寺」下車すぐ
④ 辰・巳年:普賢菩薩|行動と慈悲の象徴
普賢菩薩(ふげんぼさつ)は白象に乗る姿で知られ、実践と優しさをもって生きることの大切さを教えてくれます。
▶ 京都・南禅寺|象に騎る普賢菩薩

禅の静けさと紅葉の美しさの中で、普賢菩薩の教えを体感できます。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:8:40〜17:00(冬季は〜16:30)
- 拝観料:三門・方丈 各600円(堂所により異なる)
- アクセス:地下鉄「蹴上駅」より徒歩約10分、市バス「南禅寺・永観堂道」下車すぐ
- 公式サイト:https://nanzenji.or.jp/
▶ 京都・清涼寺の霊宝館|普賢菩薩騎象像(特別公開)

特別公開で普賢菩薩像を拝観できる機会もあり、穏やかな造形に心が整います。
清凉寺の普賢菩薩は、釈迦如来の脇侍として優美な姿で佇みます。嵯峨の静かな風情とともに心が整う場所です。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:9:00〜16:00
- 拝観料:一般500円(霊宝館公開時は別途)
- アクセス:JR「嵯峨嵐山駅」より徒歩約15分/市バス「清凉寺」下車すぐ
▶ 奈良・東大寺「 四月堂(三昧堂)」|普賢菩薩騎象像

普賢菩薩騎象像が安置されていますが、現在改修中のため拝観休止中です。
アクセス・拝観案内
- アクセス:奈良駅・近鉄奈良駅より市内バスまたは循環バスで「大仏殿春日大社前」下車徒歩15分
- 公式サイト:todaiji.or.jp
⑤ 午年:勢至菩薩|智慧の光で導く救済の仏
勢至菩薩(せいしぼさつ)は智慧の光をもってあまねく一切を照らし、迷いや苦しみから人々を救い、無上の力を与えるとされます。阿弥陀如来の右脇侍として知られています。
▶ 京都・三千院|【国宝】勢至菩薩坐像

往生極楽院の阿弥陀三尊の脇侍として勢至菩薩が安置されています。柔らかな表情に安らぎを感じるひととき。
阿弥陀三尊の一尊として慈悲と救いを象徴する勢至菩薩。大原の自然と苔庭に包まれ、心静かに拝観できます。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:9:00〜17:00(冬期は〜16:30)
- 拝観料:大人700円/中高生400円/小学生150円
- アクセス:京都駅から京都バス17・18系統で「大原」下車、徒歩約10分
- 公式サイト:三千院公式サイト
⑥ 未・申年:大日如来|宇宙の真理を象徴する光の仏
大日如来(だいにちにょらい)は密教の中心的仏であり、宇宙そのものの真理や根源を象徴する存在です。守護本尊として祀ることで、内なる力を引き出し、自己覚醒や成長を助け、心の平安や困難に立ち向かう強さを授ける仏として信仰されています。
▶ 京都・東寺|大日如来坐像

立体曼荼羅の中心に座す国宝・大日如来坐像。密教の根本仏として、すべての存在を照らす智慧の光を放ちます。
密教の中心仏・大日如来。東寺講堂の立体曼荼羅で五智如来の中心に安置され、宇宙そのものの象徴とされます。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:9:00〜17:00(受付16:30まで)
- 拝観料:金堂・講堂共通800円(特別公開は別料金)
- アクセス:近鉄「東寺駅」徒歩約10分/JR「京都駅」八条口より徒歩約15分
- 公式サイト:東寺公式サイト
▶ 奈良・円成寺|運慶作の傑作「大日如来坐像」
運慶25歳の傑作とされる国宝・大日如来坐像。静と動が調和する美しい造形は必見です。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:9:00〜17:00 年中無休
- 拝観料:大人500円/中高生400円/小学生100円(団体割引あり)
- アクセス:奈良駅・近鉄奈良駅から奈良交通バス「忍辱山行」約33分、バス停「忍辱山」下車すぐ
⑦ 酉年:不動明王|煩悩を断ち切る守護の仏
不動明王(ふどうみょうおう)は、大日如来の化身(けしん)とされ、強力な守護者であり悪霊・煩悩を断ち切る役割を持つ仏さまです。厄除け・開運・健康祈願・商売繁盛・学業成就など幅広いご利益が信じられています。
▶ 京都・東寺|不動明王

五大明王の中心に立つ不動明王。燃えるような眼差しで、迷いを断ち切る勇気を与えてくれます。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:9:00〜17:00(受付16:30まで)
- 拝観料:金堂・講堂共通800円(特別公開は別料金)
- アクセス:近鉄「東寺駅」徒歩約10分/JR「京都駅」八条口より徒歩約15分
- 公式サイト:東寺公式サイト
▶ 奈良・海龍王寺|不動明王像
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女性にも人気の静かな寺院。美しい十一面観音と不動明王を拝観でき、旅の安全祈願にもおすすめ。
悪を断ち、迷いを焼き尽くす不動明王。奈良の海龍王寺では、光背の炎の造形と力強い眼差しが印象的です。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:9:00〜16:30(特別公開時〜17:00)
- 拝観料:大人500円/中高生200円/小学生100円
- アクセス:近鉄・JR奈良駅からバス利用、「法華寺前」下車 徒歩約5分
- 公式サイト:海龍王寺公式サイト
▶ 京都・三千院|【重文】不動明王立像(特別拝観)

庭園奥の不動堂では、不動明王が静かに見守ります。紅葉シーズンの幻想的な風景も魅力。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:9:00〜17:00(季節により変動、冬季は短縮)
- 拝観料:大人700円/中高生400円/小学生150円(目安)
- アクセス:京都駅から京都バス17・18系統で「大原」下車、徒歩約10分
- 公式サイト:https://www.sanzenin.or.jp/
⑧ 戌・亥年:阿弥陀如来|極楽浄土へ導く光の仏
阿弥陀如来(あみだにょらい)は、無量の寿命と無量の光を持ち、すべての命を救済する慈悲深い仏様です。極楽浄土へと導く灯火のような存在として、信仰心と安心を与えています。
▶ 京都・平等院鳳凰堂|【国宝】阿弥陀如来坐像

国宝・阿弥陀如来坐像と雲中供養菩薩像。10円硬貨にも描かれる、京都を代表する浄土世界。
浄土信仰の象徴である阿弥陀如来。平等院鳳凰堂では、金色の光に包まれた極楽浄土の世界を体感できます。
アクセス・拝観案内
- 開園時間:8:45〜17:30(最終入場17:15)
- 拝観料:庭園・鳳翔館共通700円、鳳凰堂内部拝観300円(別途要整理券)
- アクセス:JR「宇治駅」徒歩約10分/京阪「宇治駅」徒歩約10分
- 公式サイト:平等院公式サイト
▶ 京都・永観堂(禅林寺)|本尊・見返り阿弥陀

「見返り阿弥陀」で有名。振り返るように立つ阿弥陀如来の姿に、やさしい慈悲を感じます。
「見返り阿弥陀」で知られる名刹。秋の紅葉ライトアップや寺宝展が人気です。
アクセス・拝観案内
- 拝観時間:通常 9:00〜17:00(受付終了16:00)。秋の寺宝展・ライトアップ期間は時間が延長されます。
- 拝観料:通常 600円/秋の寺宝展期間は1000円(ライトアップは別料金設定あり)
- アクセス:市バス「南禅寺・永観堂道」下車徒歩約3分、地下鉄東西線「蹴上駅」徒歩約15分
- 公式サイト:https://www.eikando.or.jp/
▶ 他、公共交通で会いに行ける「阿弥陀如来」
それぞれ異なる阿弥陀信仰の世界を伝える寺院。公共交通でもアクセスが良く、巡礼しやすいルートです。
※拝観時間・料金は2025年時点の情報です。特別公開・季節により変更される場合があります。訪問前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
巡るときのポイント
- モデルプラン: 京都では1日2〜3か所、奈良は1〜2か所が無理のないペース。
- おすすめ時間: 混雑を避けるなら朝の拝観が静かで快適。
- マナー: 堂内の撮影禁止場所では静かに手を合わせましょう。
まとめ|八体仏との出会いが「心を整える旅」に
自分の守護仏に会う旅は、観光を超えた「心を整える体験」。京都・奈良の八体仏を巡ることで、静けさの中に自分の心と向き合う時間が生まれます。今回ご紹介した寺院は公共交通を使えば、誰でも気軽に仏像に会いに行けます。
ぜひ、ご自身の守護本尊を知って、そのお寺に足を運んでみてください。きっと、心がすっと整い、日々を支えてくれる存在になるはずです。
守護本尊は、私たちの心にそっと寄り添い、人生のあらゆる場面で力を与えてくれる存在です。忙しい日々の中でこそ、自分を守ってくれる仏様に思いを馳せ、心を整える時間を持ってみてはいかがでしょうか。
ますます「仏像旅」が楽しくなります😊
守護本尊を詳しく書いた記事はこちら
🇺🇸 English Summary(英語要約)
The Eight Buddhist Guardians (Hachitai-butsu) are protective deities linked to the twelve zodiac signs, each representing unique wisdom and compassion.
This article introduces where you can meet these eight Buddhas and Bodhisattvas in Kyoto and Nara—all accessible by public transportation.
From Senju Kannon at Sanjūsangendō, Kokūzō Bosatsu at Tō-ji’s Kanchiin, and Monju Bosatsu at Abe Monjuin, to Dainichi Nyorai at Enjō-ji and Amida Nyorai at Byōdō-in, each temple offers a serene encounter with sacred art and peaceful spaces.
Whether you’re drawn by faith, art, or simply the calm presence of these statues, visiting them offers a journey to reconnect with yourself—a “mind-resetting” pilgrimage through Kyoto and Nara.
Before visiting, please check each temple’s official website for the latest hours, admission fees, and seasonal events.